<議事録>
○大門実紀史君 今日はありがとうございます。
日本共産党の大門でございます。
同じ共産党でも中国とは随分違いますので、誤解のないようにお願いしたいと。
先ほど天児参考人言われた点で、私も去年中国へ行きまして、共産党幹部と話をしたら、我が党のことよりも自民党のことを詳しく聞かれました。要するに、一つの党が長い間政権を維持している仕組みは何なんだということを聞かれましたので、アンブレラという認識は私も一緒だということを先に申し上げておきたいと思います。
東アジア共同体について、時間が少なくなりましたけれども、簡潔にお聞きしたいというふうに思います。この中の、日本、中国、そしてアメリカという関係の中でお聞きしたいと思います。本当はお二人に同じことをお聞きしたかったんですけれども、長くなりそうですので、それぞれ一つ一つ、一つずつお伺いするようにしたいと思います。
先に朱参考人にお伺いした方がいいかなと思いますが、アメリカが東アジア共同体については不快感を示したり、非常に嫌がっております。
この理由は何かということですけれども、アーミテージさんがかなりきつく言っていたり、この間も発言がありますけれども、幾つか考えられると思うんですけれども、今東アジア共同体で先行している部分というのはやっぱり経済協力の部分、その中でも地域金融協力の部分ですね。これはもう政府間で合意すればどんどんやれますので、ある意味ではFTAよりも進むということになっております。この中で、チェンマイ・イニシアチブとかアジア債券市場とか、いろいろ仕組みができて、日本の財務省も積極的にやっているわけですけれども。
要するに、アジア共同体のきっかけといいますか、大きなインパクトになったのはやっぱり九七年のアジア通貨危機にあると。あのとらえ方もマレーシアなんかは、アメリカとIMFが結託したんじゃないかとか、マハティールさんとか、そういうのもありますし、アメリカとの関係はそれぞれASEANも強いですけれども、アメリカの通貨、ドルとか金融政策とか、これにはかなり懐疑的なところが、被害を受けたという印象があるんではないかと。それも先行して、チェンマイ・イニシアチブとかアジア債券市場がずっと先行していて、いずれは共同通貨もというようなビジョンも話されるように今なってきている、こういうレベルじゃないかと思います。
この仕組みは、簡単に言うと、アジアがアメリカに輸出をしてドルを稼いで、そのドルで米国債を買うと。そのことによってお金がまたアメリカに戻ると。戻ったお金でアメリカは景気対策とか軍事費拡大とかやると。だから、このドルの還流システム、これはアメリカにとってはもう天国のようなサイクルになっているわけですよね。
一方、ドルの、日本もそうですけれども、米国債を持っている方は、こんな放漫経営がアメリカはいつまでも続くわけがないと。どこかでドルが下がるんじゃないかと。だから、できればドル、買わないと下がるから買うわけですけれども、脱却したいとどこかで思っているわけですが、ユーロなんかはそこを一線画し始めましたけれども、そういう流れがあるわけですね。
そうすると、アメリカが一番嫌がっているのは、東アジア共同体で経済協力進んで、通貨の問題とか、ドルからアジアが脱却、脱却といいますか、一定距離を置く問題、これはアメリカにとっては実は一番困る問題ではないかなと思ったりするわけですね。
その辺が、なぜアメリカがあんなに東アジア共同体を嫌がるのかと、私なんかはそれをちょっと思ったりするんですけれども、経済の面でアメリカが嫌がる理由について、朱参考人、分かる範囲で教えていただきたいと思います。
もう一つは、これは天児参考人にお聞きいたします。
要するに、東アジア共同体進んでほしいという立場ですけれども、いろいろ今申し上げたように進んでおりますけれども、経済協力関係は先行しておりますけれども、どこかで安全保障問題が絡んでくるという気もいたします。少し今絡み始めておりますけれども。
日本が今の日米同盟ならばまだ中国も別にいいんじゃないかというところがあったとしても、今度、中曽根元総理がアジア共同体評議会、日本側の窓口の責任者ですけれども、こんなことをおっしゃっています。憲法を変えて、つまり日米軍事協力を進めて、つまり自衛隊が海の外でアメリカ軍と一緒に行動を起こすことも可能になるように憲法を変えて、それプラス、東アジア共同体は経済協力機構としてやっていけばいいんだと。私、かなり思い切ったことを言われているなと思いますけれども、それだと、そういうことが出てくると、私も、話がかなり難しく、東アジア共同体のこれからに難しくなってしまうんではないかと思ったりもいたします。
中国は中国で軍事費を、国防費を増やしております。アメリカはまた自衛隊と一緒に作戦展開をやれるようにと、トランスフォーメーションもありますけれども。この二つの、中国も中国ですし、アメリカもアメリカだと思いますけれども、そういう安全保障の問題と東アジア共同体がこれから、経済が先行していますけれども、どこかでどう絡み合うか、その辺のことを天児参考人にはお聞きしたいと思います。
以上でございます。
○会長(松田岩夫君) それでは、今度は朱参考人からお願いいたします。
○参考人(朱建栄君) 今度は短くいたします。
アメリカがなぜ東アジアのいろいろな動きに対して不快感を持っているかと。私の理解するには、一つは、この地域は世界で見ていても最も経済発展が活発な地域で、アメリカはここに一枚加わらなければ、やはり経済、技術、いろいろな意味でやはり取り残される、利益が得られないと、そのような懸念があって極力入りたいという一面があるんじゃないかなと。当然通貨とかいろいろな問題も当然ありますので、アメリカのそういう中で影響力持ちたいと。
それと同じように、政治、安保面でアメリカの力が全然及ばないような枠組みができ上がってしまうということを見たくないと思うんですね。自分は世界で今唯一の圧倒的な力を持つ超大国と。したがって、全世界のどこに対しても発言権があり、アメリカの物差し、基準はすなわちグローバルスタンダードだと、そういうような自負を持つアメリカにとって、アメリカが呼ばれない東アジア・サミットとか、それは多分内心は穏やかな気持ちではないと思うんですね。その結果として、今アメリカは、最近の動きで見ると六者協議という動きに対して重視し始めたかのように感じられるんです。
いろいろなそういう具体的なことはさておき、やはり東アジア共同体の動きに対して直接呼ばれないので、六者協議という枠組みの中にアメリカはしっかりとした存在を見せて、その中で安全保障とかそういうところでアメリカのリーダーシップ、発言権というのを保っていくと、そういうような動きではないかなと思います。
以上です。
○参考人(天児慧君) 一番目の問題も関連しますのでちょっとだけ触れますと、アメリカが最初からこの東アジア共同体、最初というのは、マハティールが提唱したときじゃなくて、今日の、二十一世紀に入ってからですね、決して最初から反対していたわけじゃないんですね。
これはジェトロとそれからジョージ・ワシントン大学、ジョージ・ワシントンだったと思いますが、合同のシンポジウムをやったときに、たしかウィンストン・ロードだったと思うんですが、この問題を議論しているときに、アメリカの利益を損なわない東アジア共同体に関して我々は理解を示すということを言っているわけですね。ですから、そういう意味では、今年の初めに、今さっきの、ど忘れしちゃった、前国務副長官の非常に強い東アジア共同体への懸念という、これは一つのメッセージであることは事実ですが、それがすべてのアメリカの意思を反映した全体のメッセージかというと、必ずしもそうじゃないと思います。
私は、そこで大事なのが、先ほどから私自身の報告の中でしばしば言いましたが、やはりアメリカに、やはりこの東アジア共同体というのが別に閉鎖的なブロック的なそういう共同体ではあり得ないんですね、今の国際社会でいえば。例えば日本だって、中国との貿易が第一位になったといっても、アメリカとも一八・九%あるわけだし、中国だってアメリカとの貿易というのは世界第二位だし、第一位はEUですから、東アジアだけでやっているわけじゃないんですね。
ですから、この東アジア共同体の議論というのは、どんなに考えたって、非常に緩やかで開かれた、そういう外へ開かれた開放的な共同体でしかないわけですよ。私は、そのことをもっと日本、逆に言えば日本がアメリカにメッセージをどんどんやっぱりすべきなんですね。
私は実は東アジア共同体の委員でもあったし、それから経産省のそういう共同体論の議論の中にも昨年一年半ほどいていろいろ議論したんですが、もう必ず我々、すぐアメリカはどうするという。つまり、どういう東アジア共同体をイメージするかという前に、アメリカとの関係をどうするかとか、中国との関係をどうするかとか、そういう話ばかりをやって、そして結局ファンクショナリズムでしかやるしかないなと。つまり、ファンクショナルに共同体とか協力のメカニズムをつくってそれを積み上げるしかないという、そういう議論で落ち着いちゃうんですね。
僕は、ファンクショナルな協力のメカニズムは共同体にはならないと、基本的には。そう思います。非常に今、例えば中国と台湾というのはもうお互い経済では、もうお互いを失えばお互いの存立が危うくなるぐらいな、特に台湾側は、それぐらいな相互依存の枠組みができちゃったわけですよね。だけれども、政治的な相互不信というのはずっとあるわけですから、そういう意味ではやはり相互信頼をつくり出すメカニズムはやっぱりつくっていくことが必要だということは私はずっと前から思っているんですが、そういうものをつくっていく必要性をもっともっと我々はまず一つ認識すべきだろうと思うんですね。
やはり近隣諸国と、しかも今経済的利益というのが一番大きなこのアジアとの関係を何かいい関係にするということがいかにその地域で生きるそれぞれの国にとって大事かという、これはそれ自体が、いい関係をつくるということ自身が安全保障を良くするというか、安全保障にもなるわけですよ、実際には。警戒的な関係にすれば、これはもう警戒的な体制をつくらなきゃしようがないわけですからね。ですから、いい関係をつくるというのは非常に大きな意味を持つわけですね。
私は、そういう意味での東アジア共同体の基本というのをしっかりとつくりながら、アメリカにそれをきちっとメッセージで伝えていけば、アメリカはそんなに反対はしない。だから、アーミテージさんの話はそれはもちろんあるんですよね、それはね。それは、だから、アメリカにとって利益になり、あるいはアメリカに対して敵対的になるという、そういう懸念があるからそう言うわけですよね。だから、そうじゃないということをしっかりとメッセージで伝えるのは僕はむしろ日本の役割だろうと思うんですね。
それから、そういう中で、今の安全保障の議論というのは、それ自体はもう既にある程度僕は話をしたことになると思いますが、やはり大事なことは、まだ大きな枠組みをつくれていないわけで、その中で安全保障を含むか含まないかという議論は、これはある意味では机上の論理になってしまうわけですね。
事実として進んでいるのは、例えばARFがありますね、ASEANリージョナルフォーラムが一応対話組織として機能する。それから、今回、六か国協議がある程度対話として、そして問題解決メカニズムとして機能し始めていると。それをどうやって充実させていくか、しばらくですね。そして、それは常にアメリカ側の存在、私は安全保障においてアメリカの存在を抜きにして独自にやるなんて、そんな不可能な話ですから、私はアメリカをそこに組み込ませながらというのは非常に自然だろうと思います。
例えば、EUができていると。EU、EUにはアメリカは参加していないけれどもNATOにはアメリカはちゃんと入っているわけですね、安全保障のメカニズムとしては。ですから、そういう重層的な協力を東アジアの中で想定すべきだろうというふうに思います。
ということで。