<議事録>
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。
既にもういろいろ質問ありましたので、ダブらない部分だけお聞きをしたいというふうに思います。
私はふだん財政金融委員会に所属しておりますので、この会社法そのものといいますよりも、これによって経済の現場がどうなっていくのかという点でお伺いしたいと思いますが、最も関心があるのが三角合併、対価の柔軟化の部分でございます。一年後からそうするということですけれども、これによって何が起きていくかという点中心にお伺いしたいと思いますけれども。
これが外資系の企業の強い要望であったというのは事実として関係者の話からも私も聞いているところでございます。ただ、私、あらかじめ申し上げますと、外資系企業入ってきちゃいかぬとか、鎖国政策取るべきだとか、そういうことは思っておりません。また、神田先生が新聞で主張されているように、過剰防衛というのはかえって企業価値を低めてしまうというようなことも事実あるというふうに思います。ただ、今、先ほどから指摘されているように、欧米、特にアメリカと日本の株式の時価総額が余りにも格差があり過ぎると。その理由として、日本企業の責任もあると思います。配当が少ないとか、不況で株価が低迷しているとか、企業価値の問題もあると思います。
ただ、事実として、今、現実として格差が大きいというところで何をもたらすかということですし、一言思っておりますこと申し上げますと、アメリカの株価というのは、そもそも日本から、世界から入り込んだマネーによって保たれているという点も大きいわけですから、おかしな話ですけれども、その高い株式を使って日本企業を例えばアメリカの会社が買収するということは、日本のお金を使って巡り巡って日本の企業を買収するというふうな構図もないことはないわけでありますので、そう自由競争のきれい事ではないというふうに思っているところです。
そういう点で、対価の柔軟化、つまり外国の親企業の株式を使って日本の企業を買収できるという部分について幾つかお聞きしたいと思います。
まず、分類的に言いますと友好的買収と敵対的買収があって、友好的買収の場合ですと、経営陣が、買収される方の企業の経営陣が一応賛成をしていると。手法としては株式交換ですね、三角合併も含めて。そういう手法がスタンダードであって、敵対的の方になりますと、敵対的という言葉についてもいろいろ議論があるようですけれども、仮にそうくくった場合、買収される方の経営陣が反対をしていると。手法としては株式の公開買い付け等々、株式取得というふうになっていくと。
そういう点では、この三角合併というのは友好的買収の方に使われる手法というふうに一応分類はされているんですけれども、私は経済の現場というのはいろんなことが起きるんではないかと。私もそのアメリカの実情詳しくありませんが、いろんなことが起きているというのは聞いております。それから、実際には、例えば、この前のライブドアなんかのことも想定して考えますと、最初、公開買い付けをやって、一定の多数、一定の比率を占めてから合併に入ると、こんなこともあり得るわけですので、三角合併、対価の柔軟化が必ずしもフレンドリーな場合だけということになるのかどうかという疑問は持っているところです。
そういう点で、要するに、外資の企業にとっては、友好的とは限らない企業買収もこの三角合併あるいは対価の柔軟化によってやりやすくなるんではないかというふうに、やりやすくなる方向にはなるんじゃないかというふうに私、思っております。
そういう点で、外資系企業について客観的に事実関係として教えていただきたいんですけれども、今でも公開買い付けで日本企業の株式を買うことができるわけですけれども、なぜわざわざ外資系の企業が三角合併を望んできたのか、要求してきたのか。あるいは、何が彼らにとって便利になるのか。この辺、ちょっと現場の話も含めて、神田参考人と太田参考人の御意見を伺いたいと思います。
○参考人(神田秀樹君) 御質問ありがとうございます。
まず、三角合併自体は、先生も最初に御指摘のとおり、内外にかかわらずということですので、日本の企業にも逆に三角合併のニーズがあるということが当然あると思います。
それから、御質問の点、二点に分けてお答えさせていただきたいと思うんですけれども、できるだけ手短にいたしますけれども、一つは友好的か敵対的かというお話でして、合併自体は友好的、すなわち経営者が合併契約を締結し、株主総会に提案するもの、しかし、先生が御指摘のとおり、敵対的買収者もまず株を過半数を集めれば経営者を交代させることがまずできますですね。その結果、交代後の経営者に賛成してもらうことができますし、もっと、三分の二以上集めればいきなり合併決議を通すことができますので、第一弾、敵対的に入って、第二弾をこの合併を使うというふうに考えれば、その意味で、間接的にというんでしょうか、影響はあり得るというのは御指摘のとおりになります。
それで、もう一点、なぜこういう三角合併を望むのかということなんですけれども、これはちょっと私の推測にもなりますけれども、三角合併のプラスの面は何かということだと思います。これは簡単に申しますと、外国の会社が日本の会社を買収する場合について申しますと、日本の会社の株主にその外国の会社の株を渡すことだと思います。
従来は、直接、日本の会社があって、例えばアメリカの会社があって、直接二社が合併することはできません。いろいろな理由でできないんですけれども、そこで日本に一〇〇%子会社をつくって合併していたんですけれども、対価柔軟化がありませんものですから、その日本につくった子会社の株を日本の会社に渡すという形での合併でしかできない。現在もそうですけれども、そういう株をもらっても日本の株主は余り意味がないわけですね、一〇〇%子会社の株ですし。むしろ、親会社がちゃんとしているんであれば、親会社の株をもらった方が有り難い。そういう意味で、話を進めていく上で親会社の株を渡すという方が話がまとまりやすいんだと思います。
では、御指摘のように、公開買い付けという方法が現在ありますし、あるいは株式取得という方法がございます。つまり、株式を言わば交換、商法で言う株式交換と違いますけれども、日本の会社の株主に親会社の株式を渡しましょう、ですから株を譲ってください、こういう形で、株の交換ですね、普通の意味での交換というものをすれば同じことができるんですけれども、二つまあ従来障害があると言われていまして、一つは、税制上非常にコストが掛かる。それからもう一つは、例えば公開買い付けの場合ですと、制度的には用意されているんですけれども、やはりいろいろな事情で、主として私はやはり税の点が大きいと思いますけれども、使いにくい。そこで、三角合併という形に対して要請が高まったというふうに理解しております。
○参考人(太田洋君) 御質問ありがとうございます。
おおむね今、神田先生がお話しされたことで尽きているかと思うんですが、一点目のその三角合併を友好的な合併、友好的な買収にしか使われないのかということでございますけれども、これは最終的に株主総会での特別決議が必要というところからすると、最後は友好的でないとできないんだと思いますけれども、例えば、プレミアムを例えば一〇〇%付けましょうと。要するに、日本の会社の株が一株千円のところで二千円分相当のアメリカの会社の株を上げましょうということになった場合、これは、株主の方からはかなり圧倒的な支持を集めることが可能なわけでございまして、事実上、経営陣の側がその高いプレミアムが出された場合にそれにあらがい切れなくなるという意味では、最初敵対的かもしれないけれども最終的に友好的な買収に追い込まれると言うとあれですけれども、そうなるという事態はあるのかなと思っております。
それから、先生御指摘の二点目の、現在でもそういう、何といいますか、直接交換する制度がなくはないのになぜ三角合併かというところでございますけれども、御指摘のとおり、エクスチェンジテンダーオファーという形で現在でも外国の会社がその外国の会社を交換する対価として日本の会社の株主に公開買い付けを掛けることはできるわけでございますけれども、これは在日アメリカ商工会議所の規制緩和要望等を見ておりますと、一番最初は株式交換ということを言っておったんですね。その株式交換は今税制上、課税繰延べが広範に認められていると。これは、日本企業同士のMアンドAでこれは認められているけれども、これを外国企業、要するに外国企業を買う場合でもこれを認めてほしいというところが出発点であったというふうに記憶しております。
ですので、やはり税制上の問題が大きいのかなと。やはりエクスチェンジテンダーオファーで日本の会社の株とアメリカの会社の株を交換しますというときに、これは、課税繰延べというのはなかなか難しいわけですけれども、合併とか株式交換とかそういう組織再編だということになりますと、組織再編税制のようなものもございますので、これは課税繰延べが認められやすいんじゃないかというようなところが背景にあるのではないかなというふうに推測はしております。
○大門実紀史君 そうすると、税制面の、この三角合併の税制面というのは今財務省では検討している最中のようですけれども、今のお話だと、今の株主への課税の繰延べがどう認められるかというのはあると思うんですが、簡潔に神田参考人にお聞きしますけど、どういうふうなこの三角合併の課税あるべきか、どういうふうにお考えでしょうか。
○参考人(神田秀樹君) これは三角合併でない合併の場合と同じように、一定の条件を満たしたものについては、法人レベルでの含み益と呼んでもよろしいかと思いますけれども、その課税を繰り延べるということになると思います。それに応じて当然株主レベルでの課税も影響を受けてくるということでございます。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
もう聞くことが少なくなって、最後にお聞きして、終わりたいと思います。
こういうアメリカンスタンダードといいますか、いろんなものもいいんですけれども、ルールの方もきちんとすべきではないかと思っているところですけれども、企業間の買収でライブドア問題も集中審議があったわけですが、一般株主の利益が置き去りになったり、あるいは不利益被っているという場合が起こりがちなんですけれども、一般株主、国民が会社相手に、アメリカなんかでよくあるようですが、訴訟を起こすとか、あるいは不正をただすという点の仕組みもきちっとつくっていく必要があると思うところなんですけれども、それが逆に企業のガバナンスも高めていくという両面があると思うんですけれども、その点で、クラスアクションあるいはディスカバリー等の導入ということも含めて、今後の在り方どうお考えか、これは益田参考人に最後に伺って、終わりたいと思います。
○参考人(益田哲生君) 私は、今回、買収と企業防衛のことについてはあえて触れなかったわけですが、これ両先生からのお話もございましたように、今後、有事における対抗策じゃなくて平時における対応策ということに軸足が移るんだろうと思うんですが、やっぱり三つの要素といいますか、原則は維持されるのではないかなと。
一つは、目的の相当性。これは買収する側も防衛する側もそうなんですが、株主共同利益をいかに確保するのか、向上するのか、どちらの政策がそれに資するのかという、そういった目的で判断されるだろうと。それから、手続の相当性というのもやはりあるんだろうなと。これは事前に開示をして株主の意思を問うということになろうかと思うんですが、そういったことであるとか、それからもう一つは、内容の相当性というのがあるんだろうと思います。これは、お話がございましたように、株主平等の原則に照らしてどうかとか財産権保護の原則に照らしてどうかとかいった、そういった点で考えていかれるということだろうと思うんですが、やはり先生が一つの例として挙げられました買収と合併という点で申しますと、株主意思をいかに問うたかということが今後やはり裁判の中ではかなり重視されるのではないのかなと。この辺りは実務では株主の利益をどうやって守るのかということで、株主自身がやはりしっかりしていかなければいけないことだろうと思っております。
訴訟におきましては、今回、株主代表訴訟について私どもの立場からしますと後退しているのではないかという意見を申し上げたんですが、それについては今後とも実務としてはあるべき姿をきちっと見定めていってほしいと思いますし、さらに、先生がおっしゃいましたクラスアクション、それからディスカバリー、こういう制度につきましても、特に弱い立場にある株主が裁判を起こすというのは、資料も何もないわけですから、これはそういった訴訟じゃなくて消費者裁判もそうなんですが、そういった手続面についてもきちっと整備していく必要があろうかというふうに思っております。
以上でございます。