<議事録>
○大門実紀史君 この調査会では、東アジアの共同ということがテーマで質疑をされてきました。
私は、東アジアの共同は、二十一世紀の日本の政治、経済、アジア全体の発展を考える上で不可欠の課題と考えております。この点では、当然、日本と中国の政治的、経済的連携抜きには考えられないと。むしろ、日本、中国が一緒にイニシアチブを取ってつくるべきであろうと思いますし、他の東アジア諸国もそれを望んでいると思います。
ところが、この日中の連携が今極めて憂慮すべき事態になっています。先ほどからございました中国の反日デモの問題です。
今日は、当初、日中の経済関係構築について意見表明をしようと思いましたけれども、時が時だけですので、この問題について考えを述べたいというふうに思います。
この問題では、まず日中両国が、今暴徒化したデモや破壊行為から大使館や在留邦人、企業などの安全を確保する問題と、今回の事態の根本にあるいわゆる歴史問題とを区別して冷静に対応することが大切だというふうに考えます。
一点目は、中国側の責任ある対応を求めるという点ですけれども、安全確保の問題では、現に日本大使館や現地の日本企業の施設、日本人に被害が起きているわけですから、中国側は国際法とルールにのっとった対応をすべきです。暴力破壊行為は、いかなる理由があっても正当化されるものではございません。中国政府自身が自国民の不法行為の非を認め、再発防止に全力を挙げる責任があるのは当然のことです。
また、この調査会でも参考人の方から意見がありましたように、なぜ、侵略戦争の被害を直接知っている年代よりも若い中国の青年たちが反日デモに参加し、あれほど感情的な暴徒になるのか、彼らの怒りのエネルギーの本質は何かという点も分析される必要があります。
同時に、日本の侵略の歴史教育だけでなく、戦後、特に日中国交回復後、日本が中国に対して行ってきた経済援助などについても正確に中国の若者に伝えられてきたのかどうか、問われているというふうに思います。
日本製品の排斥運動も行われておりますけれども、これは全く時代錯誤の感があります。戦前戦中の日本商品は、確かに中国にとっては明らかに経済侵略の一つの象徴でありました。実際に排斥運動も起きました。しかし、今の日本の経済活動は両国の合意の下に行われており、日中間の経済交流を両国民の利益にかなったやり方で発展させることこそ求められています。
また、靖国参拝や歴史の事実をゆがめる教科書問題を日本の国民のすべてが肯定しているわけではありません。中国は、日本の一部の人物の言動と日本国民全体を区別すべきだというふうに思います。日本国民の多数は戦争を二度と繰り返したくないという平和の思いを持っており、平和を願う両国民の連帯が今こそ求められているんではないかと思います。にもかかわらず、デモによる暴力行為が頻発し、中国政府がその責任は日本にあるという態度に終始するならば、歴史を直視し、中国との関係を重視しようとする多くの国民にも大きな落胆を与えることになってしまいます。
二点目は、日本側の対応でありますけれども、一方、日本側の対応について言えば、安全確保での中国側の責任を指摘することは当然でありますけれども、同時に、今回の事態の根本に歴史教科書問題など、わざわざ侵略戦争を肯定、美化する動きがこの間あったことも直視することが必要です。
昨年、実際に中国を訪問して感じたのは、歴史問題について中国の市民の反応は日本が思うよりもはるかに敏感だということです。日本人でも靖国神社自身が侵略戦争を美化するキャンペーンを展開していることを知る人は少ないわけですけれども、中国人はよく知っております。
第二次大戦後の世界秩序というのは、日本、ドイツ、イタリアの侵略戦争への断罪を土台としてつくられています。したがって、この土台を否定するならば、日本はアジア、世界で生きる足場を失っていきます。そういう重大な性格を持つ問題として、我が党は靖国神社参拝、歴史教科書問題を厳しく批判してきました。
日中関係も、中国と歴史事実を共有し、真に未来に向けた友人としての関係を発展させることが求められているというふうに思います。
イギリスのフィナンシャル・タイムズ、これは四月十二日付けですけれども、日本の歴史教科書の問題、あるいは中国での一連の反日デモなどに関連して、アジア人の非難合戦という社説を掲載しております。社説は、日本はアジアへの侵略について真剣に謝罪する姿勢を見せていないと、そう指摘した上ですけれども、今のような事態は中国の安定と北東アジアの安全保障にとって危険である、事態の鎮静化に向け、双方には謙虚な気持ちが求められている、日本は過去を正直に認め、全面的に謝罪すべき、中国も、不満を繰り返し述べるのではなく、和解の手を差し伸べる用意が必要だというふうに述べています。
日本の一部にある侵略戦争美化の勢力と、中国の一部の暴徒化したデモ、それぞれを双方の国民多数が支持しているわけではありません。今求められているのは、両国政府の冷静で慎重な話合いだというふうに思います。日本の一部の動きへの抗議や批判を暴力で表すのではなく、どんな問題も冷静に話し合う態度を守ることが必要です。
今回の不幸な事件を後で振り返れば雨降って地固まるとなったと言えるような方向での解決が今求められているということを申し上げて、意見表明といたします。