国会質問

● ● ● ●  大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2005年3月15日 予算委員会公聴会 第1号

<議事録>

○大門実紀史君 大門実紀史でございます。
 御両人ありがとうございます、今日は忙しい中。
 まず、田近参考人にお伺いいたします。
 税の在り方、財政の在り方というのは国の在り方そのものにかかわる基本的な問題だというふうに思います。資本主義というのは、そもそも最初始まったときに貧富の格差を最大化してしまったと、それを人類の知恵といいますか、是正するために所得の再分配ということを行ってきたわけですね。その重要な中身が社会保障であり、累進課税ということだったわけですが、この十数年といいますか二十年ぐらいでいると、逆にそれを緩和していこうと、社会保障も自助努力だと、累進税も緩和していこうと、そういう流れで今来ている、そういうふうになっていますし、その社会の風潮もそういうふうに何といいますかね、野放しの資本主義的になっているんじゃないかなというふうに思います。
 そこで、田近参考人に、先ほどもちょっと触れられましたが、基本的なそもそも論ですけど、この税の機能といいますか所得の再分配機能をこれからどういうふうにしていけばいいというふうにお考えなのか。
 例えば、今日も少し触れられましたけれども、社会保険料の負担というのは、一定こう頭打ちになります。したがって、一定のところへ行くと逆進性を持つと、社会保険料の負担がずっと増えますとですね。かえって逆進性を伴うということがあります。で、税の方は累進税が緩和されていると。これが同時進行でずっとこれからいけば、正に所得再分配機能をどんどんどんどん縮小する方向になってきたし、なりつつあるんじゃないかと思いますが、その辺も含めて、その基本的なお考えをもう少し詳しく伺いたいと思います。

○公述人(田近栄治君) 税ということで社会保障との連動もおっしゃいましたけれども、その累進制というのをどう確保するのかということですけれども、ある意味で逆のレッスンも一杯ありまして、昔は限界税率が九〇%ぐらい、高いときもあったり、八〇%ぐらいですか、あった。そうすると、そこで、あるいは社会保障でもいろんなサービス提供してきて、先ほどの問題を指摘しましたけれども、そうすると、それがいろんな意味のインセンティブというか、に影響を与えてきた。そして、大きな租税回避というのも招いてきた。そうすると、あと社会保障の方ではそのモラルハザードというか、過大な利用も生んできた。
 だから、議論はバランスだと思うんですよね。人々のその制度に対する対応というんですかね、租税回避するから悪いわけじゃなく、合法的にやっているわけですから、その公平、累進制というのは絵にかいたもちではない、人々はそれに対して対応するわけですから。そして、そういう、その制度と人々の行動を見据えた上で議論をなさなきゃいけない。これが恐らく大きな社会保障や税制の議論になってくる。
 それでは、じゃ社会的な公平はどこで担保するんだというわけですけれども、それは税でいえば、最終的に一番それは望ましい税としてはやっぱり相続税なんだろうな。人それぞれが財産を残していくところでそのけりを付けていくと。で、所得税においては、ここで、まあ時間がない、お話できませんけども、やはり先ほど言った公平とそのインセンティブのその両者をバランスする形で議論しなきゃいけない。そういう形で今、所得税の最高税率が三七、地方が一三、五〇というところに落ち着いたんだろうと思います。
 したがって、そのどちらがいい悪いではなくて、公平ということと、人々がその制度に対して行動、リアクトしていくと、そこのバランスで決めていくべきだと、私はそれが原則だ、原則というか、それが現実的な答えを出すための考え方だろうと思って仕事をしております。

○大門実紀史君 どうもありがとうございます。
 じゃ、水野参考人、お伺いいたします。
 先ほどサービス産業が低迷しているというお話ありまして、これは小泉内閣発足したときから議論があって、小泉内閣、竹中さんは五年間で五百三十万人の雇用を増やすというのをおっしゃってたんですが、目標の半分も今行っていないと。これはサービス産業で増やすというふうにおっしゃったんですけれども、それは低迷している中で伸びてないと思いますが、先ほど水野参考人はその生産性の問題をおっしゃいまして、それもあると思いますが、私、具体的に考えますと、サービス産業というのは家計に依存する、家計とのやり取りが非常に多い産業でございますけれども、そこでいくと、先ほども触れられました個人消費が低迷している、家計が低迷しているということがもう一つ大きなこのサービス産業が伸びない原因の一つではないかと思いますので、その辺の見解を一つ伺いたいのと、労働分配率のお話もされました。
 これ、これも竹中大臣と何度も議論をしている中身でありますけれども、私は労働分配率というのもそう難しく考えないで、利益に占める簡単に言えば人件費の割合でございますから、利益が上がらなければ、自然同じ賃金でも労働分配率は上がります。やはりこの不況の中で企業が売上げが伸びないと。だから利益も上がらない。人件費がそのままだと分配率が高まると。何も賃金上げてもらったわけじゃないのに高まっているという実情があるわけですね。
 こういう点でいきますと、やっぱり両方から見なければ物事はいけないんではないかと。したがって、労働分配率をとにかく調整しなきゃ、下げなきゃと思いつつ、そればっかりやりますと、つまりそれが賃金のダウンにつながって、また消費がダウンして、巡り巡って売上げが落ちると。スパイラル状態ですね、労働分配率のわなと言われておりますけれどもね。だから、そういうんじゃなくって、やっぱり景気を良くして、売上げを上げて、利益を上げて、賃金や雇用に本当に、小泉総理も言われていますけれども、還元をしろと、すると、そういう中でいい循環をつくり出さないと、この労働分配率の問題も基本的には解決しないんじゃないかというふうに思っています。
 その二つの点、ちょっとお伺いしたいと思います。

○公述人(水野和夫君) サービス産業は低迷している、それは家計部門とのやり取り、まあ本当にそのとおりだと思います。で、その背後には所得、家計部門の消費支出が伸びないということなんですけど、があって、家計、サービス産業が伸びないというのはもう本当にそのとおりだと思います。
 ただ、消費支出が何で低迷しているかということにまた問題、原因は戻ると思うんですけれども、消費支出が低迷しているのはやっぱり所得が伸びないということだと思うんですね。で、貯蓄率を下げながら何とか世界水準を今のところ維持しているという状況だと思います。
 じゃ、何で所得が伸びないかということですが、これはまた二番目の御質問の労働分配率のところと、まあやっぱり本当にぐるぐる回るんですけれども、労働分配率が高くなり過ぎている。で、御指摘になられましたように、分母の利益が伸びないから、ほっといたら賃金が上がらないのに労働分配率は上がってしまう、やっぱりそこに戻ってくると思いますから。そうしますと、じゃ何でサービス産業が成長を失ってしまったのかという、あるいはサービスに対する需要がなくなってしまったのかということが一番最後にたどり着く私は疑問じゃないかなと思いますので。
 そうしますと、じゃ何でサービスに対する需要がなくなってしまったのかということは、やはりもうサービスが、既存のサービスはもう過剰になってきているという状況が日本で現出しているんじゃないかなと思いますので、家計が欲しいというサービスが十分提供されてない。で、供給する方が、今までのサービスで提供すれば家計が購入してくれると思っていたのに購入してくれないという、そういう悪循環だと思いますので、これはもう供給サイドの、こういうサービスを提供すると生活のライフスタイルがこういうふうに一変しますよというような、やっぱりこれは技術革新に私は結び付くと思うんですけれども、そういうことがないとこの悪循環のわなから抜け出せないんじゃないかなというふうに考えております。

○大門実紀史君 じゃ、最後にお伺いいたします。
 この三年間で定率減税縮小、廃止をして、同時に社会保険料の負担とか、いろいろ負担がこの三年間、今後三年間で七兆円増えます、七兆円弱増えます。さらに今、二〇〇七年から消費税を二けた増税という話も出ております。二〇〇七年にこの状況で、先ほど御説明いただいた経済状況で、その前に七兆円の負担を掛けた上、二〇〇七年からの消費税二けたというのは、私はちょっと無理があるんじゃないかと、景気がかなりクラッシュするんじゃないかと思いますが、その辺の判断はいかがですか。水野参考人。

○公述人(水野和夫君) まあ七兆円というのはやっぱりちょっと大きいかなと思います。
 ただ、減税が三兆円強ですかね、定率減税のところ、実施されましたけれども、二〇〇二年からの景気回復におきましてGDPが一・九%成長しているんですけれども、家計部門の貢献というのはほとんどない。ということは、減税の効果というのは私は余り家計部門にプラスの効果を与えてなかったんじゃないかなと。で、企業部門がほとんど成長を、その成長のプラス増加分ですね、企業部門の輸出と、輸出と企業設備で景気回復していますから、ということは、定率減税が余り効果がなかったかもしれない。だから、効果がなかったものは戻さなきゃいけないと思うんですけれども。
 ただ、アンケート調査を見ますと増税が、増税懸念があるから消費支出を減らすというふうに家計部門は答えてますから、ということはもう既にしちゃったことですから、それはやはり余り効果がなかったことだと私は思いますから、それはもう戻すということがやっぱり筋だと思いますから、定率減税は戻すということが筋じゃないかなと思います。
 じゃ、そのときに景気が耐えられるかどうかということですけども、それは、景気循環、もうやっぱり三年上がって一年下がるという景気循環が繰り返すと思いますから、あとはその戻すタイミングをその景気の上り坂のときで戻すということしかないんじゃないかなと考えております。

戻る▲