国会質問

● ● ● ●  大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2005年2月23日 国際問題に関する調査会 第4号

<議事録>

○大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。
 今日はお忙しい中ありがとうございます。二点お伺いいたします。
 一点目は、お二人に同じことをお伺いしたいと思いますけれども、先ほど東アジア共同体構想と日米同盟が共存し得るというお話ありましたけれども、経済のこの具体的な共同構想を、これからどうなるか分かりませんけれども、想定したときに、どういうふうになっていくのかなという点をお伺いしたいと思います。
 例えば通貨で東アジア共同体として何か共同的にやっていくと、基金という話とかいろんな構想がありますけれども、そういうことをやっていったときに、かつて日本が提案したやつを中国と一緒にアメリカがつぶしたという経過がありますよね。それがやっぱり、そういうものを進めていったときに本当にアメリカがどう思うだろうと。
 例えばエネルギーの問題も、東アジア共同体の中で特に中国と日本なんかがエネルギーを共同で開発していこうじゃないかと、そういう提案をしている人たちもいますけれども、そういうことをやっていったときにアメリカは何を言うだろうかと。あるいは農業なんかも、東アジア共同体の農民団体の中では、農業のアジアの中での分担生産を考えたらどうかということも今提案されたりしてますが、実際問題、東アジアの諸国にはアグリビジネスがかなり入っております、アメリカ系のですね。実際問題、そんな共同をやろうとしたらやっぱりアメリカが黙ってないんじゃないかとか、経済面で具体的に共同体構想を考えていくと、やっぱりアメリカとの関係に、今のままじゃなくて、やっぱりアメリカからアジアに若干シフトしないと進まないんじゃないかというふうな、そういうときが来るんではないかと。私は東アジア共同体構想、是非進めてもらいたいという立場でお話ししてるんですけれども。
 ですから、そう簡単にはいかないんじゃないかというふうなことを思います。もしそうなった場合、実際問題、アメリカが必ずしも全部つぶすとは限らないと思いますが、どう調整していくようなことがあり得るのかという点をお二人にお伺いしたいと思います。
 二点目は、船橋参考人だけにお伺いいたしますけれども、日米のこの経済面の結び付きのことなんですけれども、一つ危惧している問題がございます。
 これは米国債を日本が大量に買ってきているという問題でございます。アメリカがまた赤字が出てきましたけれども、アメリカが赤字を出す、それを米国債を発行して調達すると。そのファイナンスを日本がこの間ずっとやってきております。円高介入ということでドルを買って米国債にするということなんですけれども、実は調べてみますと、米国債の購入はヨーロッパはもう引き始めておりますし、中国もずっと買っていましたけれども、この間引き始めています。日本だけがずっと買い続けると。実際問題、売るに売れない。売れば円高になってしまいますんで、売るに売れないという、この米国債買いのくびきを付けられた状態でずっと来ているわけですね。その中でドルが下落したら為替差損を大きく生むということも指摘されています。この部分は非常に異常な、日米の経済面での異常な結び付き状態になってしまっていて、いずれ表面化したら大きな問題になるんではないかというふうに思っています。
 この点、いろんなところでも指摘され始めていますけれども、船橋参考人いかがお考えか、お伺いしたいと思います。

○会長(松田岩夫君) それでは、五百旗頭参考人。

○参考人(五百旗頭真君) ありがとうございます。
 日米同盟と東アジア共同体が両立するのは難しいのではないかと。確かに難しい局面もあろうと思います。どう調整するか、大変大きな外交課題だと思います。
 しかし、経済面の方を主としておっしゃいましたけれども、例えば環境についてだと、これは共同利益ということを割と見やすいですよね。この東アジア地域が環境の問題でうまくいくということはアメリカにも別に異存はないと。
 経済全般もやはり共同利益性の強い分野だと思いますが、領土問題となると、どっちかが取ったら他方は失うですけれども、それが必ずしもそうではないというのは、御指摘のように、九七年の東アジア金融危機のときに、日本は当時、大変自らも経済的、財政的に苦しい事態だったけれども、一肌も二肌も脱いでAMFを作ってサポートしようという姿勢を示したのに対して、アメリカ、中国は必ずしも歓迎しなかった。そこでは行き違いのようなことがあって、アメリカを排除してやろうとするということに対してアメリカ側がリアクションを起こしたというふうなこともありますが、しばらくしますと、中国もアメリカもむしろ反省したわけですよね、心ないことをしたと。
 その後、チェンマイ・プロセスというときにはだれも反対しないし、中国もむしろ、あの当時、中国はまだ十分、国際経済の中に組み入れられていなかったから相対的に自由だったですけれども、WTOに入って国際経済の中での度合いがますます高くなると、今度起こったときにはやっぱり支えがないと困るわけですね。だから、むしろ一緒に金融システムを作りましょうというふうになって、日本がやろうとしてあのとき条件反射的に挫折したことは、その後むしろ再評価されて、みんなでやろうという流れになっていると思います。それが本来の姿であり、今後の共同利益だと思います。
 エネルギーは、今のように中国がこれほど目覚ましく経済発展をしてがぶ飲みし始めて、東シナ海に対してもインド洋の方に対してももう石油エネルギーには目がないというふうに見える、そういう状況というのは大変いら立ちやすい状況です。
 しかし、やはり共同利益に立つことはできる。環境とも結び付きますけれども、中国が不効率なエネルギー利用を、日本が、環境あるいは排ガスあるいは効率化というふうな技術協力を行えば、中国はもちろん非常に助かりますし、それは結局世界のエネルギーを有効利用するということで環境面もいいというふうな協力は可能で、それをもう少し歴史的に大きく見ますと、ドイツ、フランスの終わることのない応酬という対抗関係が逆転し始めたのは、ジャン・モネの提案で鉄鋼・石炭を共有化したらどうかと、そうすればもう戦争できないというので、エネルギーを共有化するという一点を押した途端に、もはや戦争ではなくて、協力以外に道がないというふうにいったわけですね。
 我々日中関係はまだそのような段階に至っておりません。けれども、しかし、同じような論理は働き得るので、結局のところ、中国が必要として日本が必要とするエネルギー、取り合いっこをするんじゃなくて、成り立つような国際的な協力システムが大事で、もしロシアのものを開発しパイプラインを造るにしても、どちらかだけが取るというものではないと、協力関係を組み立てていく以外にないということだろうと思います。難しいんですけれども、実は外交というのはそれが見せ場であって、イギリス外交だってアメリカとの関係、ヨーロッパ大陸との関係、ソ連との関係というのに引き裂かれるような事態の中で、その間で緻密につなぎ合わせて共同利益を再定義していく、これが外交でありますので、その意味で難しいのはそのとおりですが、これから真価を問われる局面になるんだということだと思います。

○参考人(船橋洋一君) おっしゃるような、アメリカの中にもそういう、何といいますかね、アメリカリアリズムといいますか、ありますから、注意しなきゃいけないと思います。
 ただ、エネルギーに関して言いますと、日中が、じゃ例えば東シナ海で中国は中間線を尊重する形で日中で共同で開発、アメリカはこれはむしろ歓迎するんじゃないでしょうかね。あそこで日中が非常に矛盾を、紛争になったときの、アメリカはある意味ではそれを見たくないでしょうから、台湾とか、それからアメリカ自身の安全保障の重荷にもなりますし。
 それから、サハリンなんかの場合は日中が組むとロシアがむしろ警戒するかもしれませんね、アメリカより。しかし、ここでもサハリン1、これは韓国、KOGASが東京ガスに加えて大口で買うことになったわけですし、サハリン2ですね、失礼。サハリン1の方も中国に売ろうかというような話で、結局、それぞれ欧米のメジャーが入っていますけれども、欧米のメジャーと日本と中国、韓国と、それとロシアというのが自然に連携が生まれつつありますね、少し萌芽的ですけれども。ですから、必ずしもアメリカと日中、あるいはアメリカと日本、アジアの対決構図という、そういうことだけではないと思いますね。
 それから、アジア・マネタリー・ファンドは、日本の出し方も裏でこちょこちょやるような形で、きちんとしたコンセプトペーパーもなしに大蔵の役人がこそこそやったからああいうことになったということもありますね。もう少しきちんとその理論もきっちり詰めてアメリカにも根回しするという通貨外交のイロハができてなかった。
 しかし、なおかつ、それはそれとして、今となってみるとむしろプラスだったんじゃないですか、日本が一回ああいう形で寄り切られてやられてみて。それで、アジアの中でいざというときアメリカは助けてくれないと、いざというとき助けてくれようとしたのは日本だったと。ですから、今度、東アジア共同体、アメリカが何か言うときもまた同じ間違いやるんですかと言えばいいわけですよね。

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