<議事録>
○大門実紀史君 今日はお忙しいところありがとうございます。日本共産党の大門実紀史でございます。
小此木先生に二点お伺いいたします。
〔会長退席、理事山東昭子君着席〕
一つは、中国が北朝鮮にどういうふうにあってもらいたいかというのは、先ほどもお話ございましたけれども、基本的には中国的な開放路線といいますか、そういうものに転換してもらいたいと思っているでしょうし、対外的には協調路線で行ってほしいというふうに中国は北朝鮮のことを思っているんじゃないかと。特に、朝鮮半島で有事が起こった場合、中国も特に経済的にも大きな打撃を受けるというようなことも想定しているんではないかと思います。その点で、中国が北朝鮮にどのように働き掛けるかというのが一つの、六か国協議含めてかぎを握っている面があるというふうに思いますけれども、この点で、先生のレジュメに、最後の方にあったんですけれども、お聞きする時間なくて、多分この辺でお話しされようと思ったと思うんですが、中国が北朝鮮に働き掛け得るだけの影響力といいますか、圧力ということにはならないかも分かりませんが、そういう有効性といいますか、中国と北朝鮮との関係が特に経済的にどういうインパクトを、中国が物を言えば北朝鮮が言って、はいと言わざるを得ないというような、今のどういう関係にあるのか、少しさっきのレジュメの中身含めて解説お願いできればと思います。
もう一点は、そういう文脈の中にあるのかも分かりませんけれども、北朝鮮の、二年前ですか、経済管理改善措置ですか、一つの開放路線というような言い方もされておりますけれども、特区を開発したり、工業団地の建設でしたかね、そういう北朝鮮自身の、経済改革までいかないと思いますが、そのはしりだと思いますが、そういう路線もある意味では中国のアドバイスがあったのかななんて思ったりもしますが、それは今現在どうなっているのか、あるいは成功しようとしているのかどうか、分かる範囲でお願いできればと思います。
高木先生には一つお聞きしたいのは、ハンティントンの理論というのは大変興味深く聞かせていただきました。これで思ったんですけれども、この調査会でも中国の民主化がどうなっていくかというのが一つの焦点で質疑が進められてきたんですけれども、ポイントは、中国共産党そのものが崩壊するかどうかというよりも、もう少しリアルに物を考えますと、中国共産党の一党体制が続くのかどうか、続けられるのかどうかというようなことが、中国共産党もなかなかしたたかでございますんで、そういう点があるんではないかなというふうに私なんかは感じております。
私どもはもちろんどんな体制でも複数政党制であるべきだと思っておりますけれども、その中国の共産党も一党体制から複数政党制になるというようなことをどっかでは考えているような気がちょっとしたのが、去年、ODAで中国行ったときに、調査で行ったときに、ある高級官僚が日本の自民党が戦後長い間にわたって政権を維持してきたというその統治システムは非常に興味がありますということを言っておりました。
〔理事山東昭子君退席、会長着席〕
つまり、これからどうなるか分かりませんけれども、想定しているのは、一つの大きな政党と、プラス複数政党で小さな政党といいますか、そんなこともあり得るというようなことを、今の中国の指導部はかなり外国留学経験した若手の頭の柔軟な方多いですから、場合によってはそんなことも一つの選択肢といいますか、視野に入れたりしているんではないかと。もちろんこれからいろいろなこと起きて、そのときに体制がぎゅっと詰まったときにそんなことも考えているんじゃないかなというふうに個人的にはいろいろ感じてきているんですけれども、そんなことを、今もしお感じになることがあればお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(小此木政夫君) 最初の御質問でございますが、レジュメの中にも確かに書いておきまして、少しお話ししたいというふうには思っていたわけですが、中国ができることの最大限のものというのは、レジュメの中にあります例えば同盟条約を再検討するとか、あるいは食糧・エネルギーの援助を停止するとか、貿易管理、例えば国境貿易というものをもうちょっと厳格に統制していくとか、脱北者問題、例えば脱北者政策というものを変えて中国に入ってくる人たちを積極的に保護していくとかというような、これはいずれも圧力の政策になるわけですが、これみんなやったら必ず北朝鮮崩壊してしまいます。ですから、中国にとって難しいのは、崩壊させないで、しかし圧力を掛けながら北の政策の方を変えていきたいというふうに考えている。だから、彼ら中国というのは非常に難しいのだろうというふうに想像しております。
この間、中国の専門家とか外交官とかいろんな人たちと会う機会があったわけですが、六か国協議が始まるときに彼らが言いましたのは、三原則と言っておりましたが、北朝鮮の非核化、北朝鮮の核を認めるわけにはいかない、これは同じなんですね。ただし、二番目は平和解決であって、必ず平和的に解決しなければいけないということを付け加えるわけです。そして、三番目は北朝鮮の安全と言うんです。北朝鮮の安全を脅かすようなことはやはりよろしくないんだと。
ですから、確かに中国は非核化を追求しているんですが、しかし時間の流れというのは我々よりずっと緩やかでありまして、何年掛かってもともかく平和的に解決する方が優先されるということなんじゃないかと思うんですね。特効薬を使って、つまり先ほども申し上げたようなエネルギーを止めてしまうとか、エネルギー支援を止めてしまうとか、食糧援助をやめてしまうとかというような劇薬はなかなか使わない。周りの環境を整えて、漢方薬のようにじっくりと相手を変えていくというようなやり方でこれまで対応してきたように思うんです。
ただし、中国も国際社会の中で生きているわけですから、もうちょっと影響力を行使させるということは不可能ではないと思いますし、その場合、もう少しというのが相当大きな意味を持ってくるかもしれないというふうにも考えております。
私、先ほど五か国で会議をやったらいいじゃないかというふうに申し上げたんですが、それは北朝鮮がいなけりゃもっと意見は一致するわけですし、五か国会談というのは北朝鮮に対する対応を具体的にそこで細かく決めていくということ以上に、中国や韓国に対する何というんでしょうか、協力要請とか圧力、ともに圧力を掛けましょうとかというような意味で、つまり五か国の関係を調整していくという意味で非常に重要だと思うんですね。
先ほど韓国の例を申し上げましたが、韓国だけでなくて中国でも何らかの圧力手段というようなものを考えていただくというようなことをあらかじめやっておきませんと、安保理事会へ持っていっても、そこで紛糾してしまっては意味がないわけです。中国が国際化しつつあるということの一つの意味合いは、安保理事会に持ち込まれたら彼らはやっぱり北朝鮮を支持するわけにはいかないんです、やっぱり。決議が通れば、賛成はしないかもしれません。棄権でしょう。だけれども、国連決議を正面から踏みにじるようなことはしません。やはり形だけでもそれを尊重しているような行動を取らざるを得なくなっていくという意味で、それはやっぱりかなり大きな意味を持ってくるんではないかというふうに考えているんです。
二問目の七・一措置ですが、経済改革措置は必ずしも成功しているとは見ておりません。しかし、これまでも北朝鮮は、そういう言い方で言えば余り成功したことはないんです。一貫して失敗していると言ったらいいんでしょうか、経済政策に関してはですね。不思議なのは、失敗しても失敗してもやっぱり改革措置、開放措置を取ってくるということなんですね。それはやっぱり、後戻りできないということをよく知っているからなんだろうというふうに思います。ですから、成功していないからもうそういう措置は取らないだろうというふうに考えられると間違いでありまして、多分時期が来ればまた同じような、あるいはもっと積極的な開放措置というものを、開放・改革措置というものを取ってくるだろうと思います。これは経験的にそう考えているわけですから、考えているわけですけれども。
我々は、それをできるだけエンカレッジすることが重要なんですね。経済体制というものが変わっていけば、それはやがて政治体制の変化というものにつながっていくわけですから、結局のところ、あの体制が崩壊するか云々と、しないかというよりも、どうやって長い目で我々はそれをマネージしていくかと、外からコントロールしていくかということが重要でして、できるだけ、何というんでしょうか、平和的に、段階的に、しかしきちっとあの体制を変えていくということが必要なんだろうと思うんです。
アメリカの国内では、体制転覆か体制改革か、いや変革かというような、つまりレジームチェンジかレジームトランスフォーメーションかというような議論がございますけれども、どうやってトランスフォーメーション、変革していくか、それもできるだけ早くやっていくかということが重要であって、体制が変革されない限り核問題や拉致問題のようなものというのはなかなか解決しないという指摘は、私は正しいだろうというふうに思っていますね。つまり、ソ連の場合もそうですけれども、収容所列島がなくなってから体制が変わるわけではないんです。体制が変わるから収容所列島がなくなっていくわけでして、それをどうやったら一番効率的に、しかも平和的にできるかということに関して検討していくべきだろうというふうに思います。
参考人(高木誠一郎君) ありがとうございます。
先ほど御質問の、中国共産党の一党体制が続くのかということで、そして自民党一党優位体制のような形に転換していくかということなんですが、先ほどおっしゃいましたように、中国人の中にそういうことを現実的な選択肢、オプションとして考えている人がいることは確かでございます。
そのことで思い出しますのは、一九八〇年代から九〇年代にかけて台湾で、台湾も国民党一党独裁の体制であったのを民主化してきたわけですが、その過程で自民党を研究して、自民党がどうやって民主的なシステムの中で一党優位なその体制を維持できたか学んで、我々もそういう形で台湾で政権を維持していこうということを考えた人たちがいることを知っておりますが、もちろん御存じのようにその構想は見事につぶれたわけですね、台湾では。そして、そのことも中国の人はよく見ておりまして、自民党スタイルというのは台湾では結局駄目だったと、我々はそれができるだろうかというふうに言っている人もございます。
それから、自民党との関係で申しますと、ほかの党との関係で優位にあったという面と、もう一つ、党内に派閥があるということから、中国の共産党も派閥の存在を認めて党内を民主化していこうというようなことを考えている人がやはりおります。
共産党を中心とした多党体制ということですと、現在の体制は共産党指導下の多党協力体制というふうに言われておりまして、実は共産党以外にも政党あることはあるんですね。ただ、その政党の指導部は全部共産党員で、共産党に立ち向かうようなことができない仕組みになっております。そして、その彼らが主に発言権を得るのは政治協商会議という組織でありまして、ある人がこのシステムを説明するときに、要するに参議院みたいなものですと言った人がいるんですが、これは御臨席の先生方に非常に失礼な説明だろうと思いますが、要するに政治協商会議というのは諮問機関であって一切決定権はございませんので、多少発言の自由は拡大しておりますけれども、基本的に二院制ということではないんですね。
ですから、中国が今後、共産党の一党支配体制が崩れていくとすると、これをもっと本格的な議会にしていって、現在存在する政党からも共産党員は全部引くと。あるいは、指導部の党籍を抜くというようなふうになってくるのかもしれませんし、中国民主党というのを作ろうとしてつぶされた例もありますので、新しい政党が出てくるということもあり得るのかもしれません。中国の民主化というのは長期的に見れば必ず起こると思いますが、その過程がどういうふうに進むかというのは現在からではとても予測が不可能だろうと思っております。
中国の民主化の過程を将来に向けて考えていくときには、どういうふうになっていくかということも大事なんですが、先ほどの私の話に関連付けさせていただきますと、その過程がどれだけ安定的に推移するかということの方がある意味では我々にとって重大ではないかと思うんですね。安定した民主社会というのはあるんですけれども、安定的な民主化過程というのは、まあ皆無ではありませんけれども非常にまれでありますから、中国が民主化していく過程がどう平穏になってくれるかと、あるいは平穏に推移するために我々に何かできることがあるかということをむしろ考えるべきではないかと思います。