国会質問

● ● ● ●  大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2005年2月9日 参議院 国際問題に関する調査会 第1号

<議事録>

○大門実紀史君 本日はありがとうございます。
 私の方は、日中というよりも、日本のアジア外交、中国のアジア外交という、そういう角度でお伺いしたいと思います。
 私の問題意識、先に申し上げますと、日本の政府、外務省にそもそも今までアジア外交と言えるような戦略だとかそういう先見性だとかポリシーというものがあったのかどうかということをまず思うわけですけれども、根底にいまだ欧米志向といいますか、脱亜入欧といいますか、とにかくアジアを脱してヨーロッパ列強の仲間入りをするというような、明治維新以来のそういうものが根底に続いていて、なおかつそれは裏返すとアジアべっ視になるわけですけれども、そういうものはずっと根底にいまだあるんではないかと。特に、戦後、日米同盟体制の中でアメリカ、対米政策が重視に偏って、アジアとか、あるときはやっぱりヨーロッパなんかに対してもそういう外交が副次的になってきたんじゃないかというふうに全体として思います。
 その中で、特のこの間、アジアの中で東アジア共同体、コミュニティー構想とかアジアの中でいろんな共同の機運が高まっている中で、日本というのは非常に後手後手に回っているんではないのかなと。例えば、共同体構想そのものが、中国がASEANとそういうことに積極的に乗り出した後で日本も慌ててASEANとそういう会議なりいろいろやっていくと。あるいは、東南アジアの友好協力条約のときもそうでしたけれども、最初日本は拒否をしておいて、中国とインドが入ると決まった途端、慌てて後から日本も入ると決めるとか、この間で、EPAもFTAもそうだと思いますけれども、中国が、特にアジア通貨危機以降、FTA、EPAに積極的になってASEANと結び始めると、日本はそれまで多角貿易主義だったんですけれども、急にFTAに積極的になると。
 とにかく、何か全体として、中国が動くとそれにイニシアチブ取られないように対抗的に動く、だから場当たり的にずっと日本のアジア外交というのはやってきたんではないかというふうに見て取れるんですけれども。アメリカの顔色をうかがいながら中国に主導権を取られないみたいなところだけを考えていて、何かアジア外交全体のポリシーが、戦略がなくやってきたんではないかというふうに、私の方はそういう問題意識を持っている上でお聞きするんですけれども。
 お二人の参考人に同じことをお聞きいたします。
 一つは、今申し上げた日本のアジア外交というものをどのように評価されておられるか。あわせて、中国はかなりしたたかに動いてきたような気がいたしますが、アジア全体に向けた中国のアジア外交というものはどういう方向性を持っているか、あるいはどんな戦略を持っているか、御存じでしたら教えていただきたいと思います。

○会長(松田岩夫君) それでは、国分参考人からお願いします。

○参考人(国分良成君) 非常に的確な御質問をいただいたというふうに思います。日本の対アジア外交、その中で、例えば中国をどう位置付けるかと、こんなようなテーマが一つ。それから、中国の対アジア外交ということだろうと思います。
 日本の対アジア外交というのがなかったかというと、それは恐らくないということはないと思いますけれども、恐らく七七年の福田ドクトリン、もちろんそれ以前からも賠償外交というのはありました。もちろん、今年は日韓の国交の四十年ということになるわけでありますけれども、もちろんその後にも環太平洋構想とか、あるいはAPECとかASEANプラス3とか、つまり日本が表に出なくても、もちろん裏で様々な日本も動きを見せたということはあります。
 ただ、今の御質問の趣旨をもう少し私なりに解釈いたしますと、私が最初にお話ししましたけれども、つまり日本自身がアジアにどう面するかというテーマそのものをどのくらい自分自身の問題として考えてきたかということについて問われますと、私も一人のアジア研究者、三十年やってきた人間として考えますと、やはり今かなりショックを受けているというのが今の日本の現実だろうというふうに思います。
 と申しますのは、やはり二十世紀は日本の優位性の時代があったことは間違いありません。その優位性の時代が、やはり二十一世紀へ向けて日本が非常に苦しい状況に陥ってきたというのは、どの指標を見ても、どの今後の可能性を見ても分かるわけであります。その中で、今アジアが急激に、中国のみならず元気になってきていると。そして、同時に発言力も増してきているということですね。
 そういう中で、日本はアジアとどういう形で付き合ってきたかというのは、中国のみならず、私は、やはり反省の前に、とにかくこれはもう現実でありますから、私はもう物事に何も遅いことはないと思いますけれども、多分時間が掛かると思います。それは、つまりアジア世界というのは欧米世界とはやはり違う世界でありますから、そういう世界と今国民レベルで付き合わなければならないという時代になったというのは、やはり日本にとっても一つの革命的な転換の時期に来ているというふうに思っています。ですから、その心理的な調節を、葛藤をどういうふうにしていくかと。
 エズラ・ボーゲル先生がかつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」というのを書かれたわけであります。そのエズラ・ボーゲル先生が最近大きな論文を書いています。それは日本に対する警鐘でありました。それは、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を私が書いたときに、それは日本が台頭しているぞと、それをアメリカ人に警鐘として書いたと、その意味だったと。今、アジアで起こっているのは、つまりは中国が台頭しているぞと。その台頭している現実の中で一体日本はどうするんだということが問われているんだと。そこに日本から答えが出てこないということで、かなり厳しい批判をしています。
 ボーゲル先生があれだけ批判をするというのは珍しいことだと思いますけれども、私自身、そういうことを見ても、日本自身が今問われている。その中で書いていることは、例えばアジアに行っても、どの国際会議に出ても日本人が少ない、日本人が英語でやっていないと。中国人やほかの東南アジアの人たちがみんな英語でがんがんやっていると。どうして日本人がいないんだと。アメリカでもそうだと。もう中国人は英語でみんなやっていると。そして日本人が少ないと。この現実を非常に嘆いているわけですね。
 ですから、この辺は、元々日本が好きだったボーゲル先生がこういうふうに嘆いているというのは一つの警鐘だというふうに思っております。ですから、やはりアジアとの付き合い方というのは真剣に考えなければいけない。
 時間の問題ありますので、中国のアジア外交でありますけれども、簡単に申し上げたいと思いますが、中国の中であなたはアジア人ですかという質問をしたときに、えっ、私は中国人だと。アジア人だと言われても、ほとんど恐らくだれもが自分は中国人であってアジアという意識は非常に薄かったと思います。
 ただし、政策的に見ますと、アジアというものをかなり強調し始めたということは間違いありません。恐らく一般の中国人の、本当に町の人からすればアジアという意識は薄いかもしれません。中国は中国だというやはり中国を中心にして物を考える。しかし、今の中国の政策当局の方向性としては、例えば周辺外交ということが頻繁に出てまいります。その周辺外交というのは、基本的にASEANプラス3になったわけです。これも、ASEANプラス3はむしろ日本がその中で後ろでイニシアチブを取ってきたという背景はあるわけですけれども、突然中国が元気になり、中国が前に進み出したらば、日本が後ろにちょっと後ずさりするという現実があるわけですね。これもボーゲル先生は書いています。つまり何で先に行かないんだということですね。
 これは、つまりは決断がないということだろうと思いますけれども、別にここで競争する必要は必ずしもないわけでありまして、正直申しますと、やはり日本の経済的なプレゼンスと経済的な存在感というのはまだいまだに中国と比べても圧倒しているわけでありますから、それを前提にどう考えていくかということであって、そのときに、やはり将来的には中国という巨大なあのマーケット、そのマーケットというのは二つの意味があって、工場であり消費市場であるということ。この工場だけがこれまでの中国だったわけですが、やはり中国の中で売るということを考えたら、そう考えていけば、もうこれはこれから数十年は最低この地域は安泰になるわけでありますから、中国が良きマーケットになるということはこれは重要なことであります。そういう方向性の中で我々は生き延びていく以外にもう方法はないわけでありますから、そうなってくると、そこは戦略を立て直すということが必要だというふうに思っております。
 以上であります。

○会長(松田岩夫君) 孔参考人、お願いします。

○参考人(孔健君) 私の方からというと、日本はアジアの地位というところは、日本は、一番、日米関係はナンバーワンと、第二番の方は国際協調と、第三番の方はアジアをついでに考えると。これ、日本のアジアに対しての外交の考え方というか、方針だろうと思っているんですよ。
 そういうところになると、やっぱり中国の方から見れば、日本はアジアじゃないと、日本はアメリカついでに、アメリカの付き物だと、そういうところを見ているんですよ。やっぱり何だかんだというと、中国の方からというと、すべてアメリカ一辺倒というところになっていると。こういうところは、中国、最近の方はよく分かりまして、日本との交渉とかいうの話はするよりも、先にアメリカぽんと引っ張って話し合うと日本自然に付いてくると、私の方は見てこういう関係になってきたんですよ。
 そういうところでアジアの方は、中国の方から、特に東アジア共同体と、10プラス3というところですね、10プラス3の首脳会議とか、中国積極的にやっているんですよ。積極的にやっているところは、やっぱりアジアの中に、我々、もちろん中国の考え方は、今は人口一番と、経済の方は二番か三番かもしれないですけれども、しかし日本は一番かもしれないし、そういうところは私、さっきの三十分の中の話した中に、今、中国の中に、中国の方は日本見ていると。これはやっぱり競争関係になっているところあるんですよね。例えば、この前の津波の援助というか支援金のところで、日本の方五億ドル、ところが中国五億ドル出せないから五千万ドルかな。それで、全国民の方は五億元を目指してやっていこうと。まあ五億元と五億ドルは全然違いますから。
 そういうところからいうと、中国の方は、やっぱりアジアのところで一つの方は、周りの方は一つのエネルギーの合作をしたいと。もちろん今は、今ガスの話も多分出てくるだろうし、ところですが、日本の方は余り合作したくはないと。それからもう一つはFTAの話、合作と、これに中国側の方はアジアとしてはやりたいと。もう一つの方は先ほど環境の問題と。こういうところを中国の方は、東アジアの中にやっぱり自分で、これ人口から見れば、その周辺からという、例えば環日本海、環渤海の渤海、環黄海、黄色い黄海ですね、それからメイコーフォーというベトナムの川とか、この周りの方はできれば川利用して、周辺の方とつないで経済合作のパートナー作ろうというところですよ。これ中国の考えです。
 なぜというと、中国から見れば日本はどっちみち一つの日本列島だから、一つ島だから、アジアの方は海あればつながるんです、海なければ一緒につながらないと。そういうところも私の方から見れば今あるだろうと思っているんですよ。もちろん、日本も経済大国だし、日中の問題いろいろあるし、本当、こういうところは、私の方からの提案ですけれども、日本はアメリカ一辺倒じゃなく、できれば日中の方、よく対話を行って、やっぱりアジアをどうすればいいかというところもお互いにやっぱり、共同戦略じゃないけれども、やっぱり協調しながらやる、やっていくべきじゃないかなと思っているところですよ。

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