<議事録>
○大門実紀史君 大門です。
今日は、私の方はお礼の質問でございますので、安心してお答えいただければと思います。
中小の損保代理店問題については、長年、現場の要望を今回の監督指針案に盛り込んでいただきました。
この財政金融委員会でも、二〇一七年以来、もう八年ですかね、この問題、毎年のように取り上げさせていただいて、要するに、損保ジャパンだの東京海上日動だの大手損保が、地域で頑張っている中小代理店に、一方的に手数料の引下げ等を押し付けたり、統廃合を迫ったり、あるいは廃業まで迫るというようなことをいろいろ行われてきて、いわゆる優越的地位の濫用のようなことが数多く行われてきたわけでございます。
私、ずっとやってきて、まだこんな業界が日本にあるのかと思っていたら、本当にあのビッグモーターのような事件が起きるというようなこと、まさにそういう業界だったと思います。
ただ、中小代理店の問題は、金融庁の御努力で、具体的な指導もあり、現場も声を上げて、院内集会も毎年行われてきて、今度六月六日に超党派でまたあります、保険課長さんの報告、講演もあります。また、マスコミも何回も取り上げていただいて、各大手損保も随分昔に比べたら自重するように、余り露骨なひどいことはなくなってきたかと思います。
国会では、自民党の西田先生が、あるいは大塚耕平さんが頑張っていただいて、特に、西田先生は、優越的地位濫用を許しちゃあかんということで、公取の部分をかなり働きかけていただいて、今日の船橋先生の公取の答弁もそういう御努力が反映しているんではないかと思うところでございます。
私自身は金融庁の行政指導という観点からいろいろお願いしてきて、要するにむちゃなことはするなと、優越的地位の濫用をするなというようなことを通達とかあるいは通知とかですね、何か形にしてほしいということを要望してきたところ、やっと今回監督指針に盛り込まれたということで、お手元に資料を配ってございます。
普通、長い付き合いですけど、財務省や金融庁の世界で、民民の契約で片付けられている問題を、特に中小事業者の立場でこういうふうに監督指針に入れていただいたというのはめったにない画期的なことだというふうに思っておりますので、麻生大臣から加藤大臣に至るまでの歴代の金融担当大臣の御努力と、遠藤元監督局長、よく名前出しますけれど、その方からずっと保険課の事務方が頑張っていただいたことに心から敬意を表して、感謝を申し上げておきたいというふうに思います。
その上で、時間短いですが、幾つか確認をさせていただきます。
配付資料、監督指針の上の方ですけれども、今回、個々の代理店手数料の算出方法については、代理店委託契約に基づき、損害保険会社と保険代理店との間の協議、合意により決定されているというふうに書いていただきました。
実際は、今現在も委託契約とは別規定で手数料を一方的に決めるということが、ポイント制度ですね、行われておりますので、協議、合意というのは事実上されていないことが多いという中で、あえてここに監督指針で書いていただいた意味なんですけれども、金融庁も、もちろん現場のヒアリングやこの八年間の指導を通じて、実際には合意とか協議がされていないケースが多いということはもう百も承知だと思うんですよね。
それをあえてここに書いていただいた意味というのは、本来はそうあるべきだと、協議、合意で決めるべきだということを基本的な当たり前のこととして、逆に言えば、そういうふうに協議、合意を大事にしてほしいという意味で書かれたというふうに思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(伊藤豊君) 御指摘の監督指針改正案の記載につきましては、損害保険会社と保険代理店の委託契約は事業者同士の対等な契約であり、代理店手数料を含め、よく話し合った上で合意に至るべきという一般的な原則を述べたものでございます。
一部の保険代理店から、例えば代理店手数料体系の見直しがあった場合などに、損害保険会社からの説明がなかった等のこの代理店手数料算出方法の運用上の懸念が示されていることも承知をしているところでございます。
金融庁といたしましては、こうした指摘も踏まえまして、損害保険会社による保険代理店への説明や協議が一方的なものとならないよう、引き続き損害保険会社に対して丁寧な対応を促してまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
今後、一方的な手数料の決め方、押し付けがあれば、この金融庁の監督指針と違うんじゃないかということが現場では堂々と主張できるようになるというふうに思います。
もう一つは、下の、下段の方ですけれども、今日も議論がございましたが、手数料の決め方、そもそも、大手損保が代理店を評価すると、評価して手数料を決めるという、それそのものが一方的でおかしいんですけれども、根本問題なんですが、これは主に公取マターでも関わるんですけれども、その上で、今現在の問題として、ポイント制度を通じて大手損保が代理店の手数料を決める、決めているわけですけれども、そのときに、今までだと規模、増収率、つまり、大きな代理店、あるいは去年より今年売上げを伸ばした代理店、あるいは下の段でいきますと事務効率化とありますが、要するに大手損保にとって効率のいい、事務効率のいい代理店ということばかり優遇するようなことがあったわけですね。それを、そういうことばかり優遇しないで業務品質、これはフィデューシャリーデューティーということを言われていましたが、つまり、顧客サービスですよね、顧客にとってという意味ですよね、その点をおろそかにしないでと。
つまり、麻生太郎金融担当大臣が繰り返しここで言ってもらいましたけれども、地域の中小代理店というのは地域のセーフティーネットの役割を果たして、いざというとき重要な役割を果たしているんだと、そういうことも含めて評価すべきということをいろんな経過があってここに書いていただいたんだというふうに思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(伊藤豊君) 昨年六月に公表されました有識者会議の報告書におきましては、代理店手数料ポイント制度においては、規模や増収面を重視し、業務品質を必ずしも適切かつ十分に評価していない傾向があり、この仕組みが大規模な保険代理店に業務品質を軽視する不適切な保険募集のインセンティブを与えているおそれがある旨指摘されているところでございまして、こうした指摘を踏まえまして、先般の監督指針の改正案におきましては、代理店手数料の算出方法につきまして、保険代理店におけるコンプライアンス疑義事案の発生状況等を踏まえていること、また、保険代理店の規模、増収に偏ることなく業務品質を重視することに加え、さらに、その業務品質の具体的な指標について、損害保険会社の事務効率化ではなく、顧客にとってのサービス向上に資するものとすることを求めているところでございます。
金融庁といたしましては、こうした対応によって、大規模代理店を含めた保険代理店全般においてインセンティブの面から顧客本位の業務運営の更なる浸透を促すとともに、業務品質の高い中小の保険代理店が規模の面で必ずしも不利にならない手数料体系の実現につながることで、保険市場の健全な発展の一助となることを期待しているところでございます。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
今パブコメの最中ですけど、これは具体的に監督指針として定まっていく今後のスケジュールといいますか、流れを教えてもらえますか。
○政府参考人(伊藤豊君) この監督指針の改正案でございますが、六月十三日まで、一か月でございますけれども、パブリックコメント期間としておりまして、その後、受け付けたコメントを踏まえて、その内容の検討、修正をする必要があるかですとか、どういうふうにコメントをお返しするかですとか、そうしたことを検討を行った上で、最終化した監督指針を公表、公表と同時に監督指針の適用を開始する予定でございます。
このコメントにどんなものが出てくるかということがございますので、今申し上げた六月十三日以降どのぐらいのタイミングで出せるかということは、一定の幅がございますけれども、できるだけ早期の最終化を目指して進めていきたいというふうに考えております。
○大門実紀史君 現場では日々いろいろ起きていますので、できるだけ早く確定して出していただきたいと思います。
全体の、先ほど申し上げましたポイント制度ということを通じて大手損保が代理店を評価するという根本問題があるわけですね。これそのものが優越的地位濫用に該当する可能性があるわけでございます。あるんですけど、今日あしたの問題としては、この監督指針に盛り込まれたことが現場ではいろいろ生かせるのではないかというふうに思います。
つまり、大手損保に対して協議、合意を求めることができるということですね。一方的に決めちゃ駄目よということができるということと、手数料の決め方についても、協議、合意が前提となりますと、当然説明を求めることができるはずですよね。そうすると、なぜそういう評価をしたのかと、ポイントにしたのかと、それが規模、増収だけだと監督指針と違いますよというようなことを、また異議申立てといいますかね、できるわけでございますので、その物差しを金融庁が示していただいたということになるかというふうに思います。
最後に、加藤金融担当大臣に伺います。
これは本当に金融庁の皆さんの努力が形になったんだと思っております。ただ、まだまだ課題はございますので、この監督指針がきちんとワークするように、しかも、まだまだいろんなこと起きると思いますので、引き続き金融庁として、大手損保と代理店が共に発展することが大事なんで、どちらか対決する話では本来ないんですけれども、そういう点で、業界の発展のためにも、地域で頑張る中小の代理店、引き続き金融庁として応援してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 委員からこれまでの取組に対して御評価いただきましたことに、まず感謝申し上げたいと思います。
保険金の不正請求事案の再発防止に向けて、改正後の監督指針の内容に沿って、代理店手数料の適正化を含め、各損害保険会社において業務の適正化が図られることは大変重要と考えております。
金融庁としては、現在、損害保険会社が検討している新たな代理店手数料の算定方法が顧客にとって真にサービス向上に資するものとなっているか、先ほど監督指針の改正スケジュールについては申し上げましたけれども、その改正後の監督指針に基づいて、しっかりと確認し、必要な指導を行っていきたいと考えております。
そうしたことを通じて、各損害保険会社また代理店がそれぞれの機能を発揮していただいて、最終的には、先ほどなぜ損害保険があるのかというお話がありました、そうした本来の損害保険が担う役割がしっかり発揮されて、まさに国民の生活の安定等々につながっていく、それに向けてしっかり努力をさせていただきたいと思います。
○大門実紀史君 よろしくお願いします。
終わります。