国会質問

● ● ● ●  大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2025年5月26日 参議院 決算委員会 日産の工場閉鎖人員削減対策/消費減税問題などについて
<赤旗記事>

2025年5月27日(火)

日産閉鎖 雇用・下請け守れ
参院決算委 大門氏、政府に要求

(写真)質問する大門実紀史議員
=26日、参院決算委

 日本共産党の大門実紀史議員は26日の参院決算委員会で、日産自動車が国内外2万人の人員削減や7工場閉鎖の計画を発表した問題を巡り、政府が雇用、下請けなど中小企業、地域経済を守る姿勢を示し、指導・支援すべきだと主張しました。

 大門氏は、日産はもともと経営立て直し計画を検討していたが、トランプ関税が国内自動車産業に影響を与えるもとで工場の整理、集中化をいっそう進める危険があると指摘。人員削減、下請け整理の流れは他の自動車大手にもあり、日産問題にどう対応するかは「自動車業界全体に関わる」と強調しました。

 報道によると、閉鎖計画には神奈川県の追浜(おっぱま)工場(横須賀市=従業員約3900人)、湘南工場(平塚市=従業員約1200人)を含みます。大門氏は「現地では大変な不安が広がっている」と強調し、日産と取引のある県内企業は1757社にのぼり、産業別では自動車部品メーカーなどの「製造業」が542社と、県内全体の輸送用機械器具製造業(約1500社)の3分の1を占めると指摘。取引先の売上高別では1億円以上10億円未満が約4割、1億円未満が17%と6割近くが中小企業で、工場閉鎖は「街ごと大きな影響を与える問題だ」と強調しました。

 23日に同県知事が日産に閉鎖取りやめを求め、22日には横浜商工会議所会頭が「従業員の雇用と地元への対策を」と要望したとして、「地域経済、雇用、関連企業に影響のないよう政府としても申し入れるべきだ」と要求。武藤容治経済産業相は「しっかり注視していかなければならない」としながら、申し入れる考えは示しませんでした。

 大門氏は、日産が下請け企業への支払代金約30億円を不当に減額し、昨年、公正取引委員会から下請法違反の勧告を受けたと指摘。この点を踏まえ日産に下請けにしわ寄せしないよう求めるべきだと述べ、下請けへの優越的地位の乱用や下請法違反が多い自動車業界全体にも、同様の事態を起こさないよう申し入れることを求めました。

<議事録>

○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。
 トランプ関税に関連して質問いたしますけれども、そもそももうとんでもない要求でございますから、けしからぬ、撤回すべきというのは前提ですが、影響、打撃も想定されます。自動車だけに限らず、物流ほか広く影響が出ると言われておりますが、まず、そうはいっても自動車がどうなるかについて、今日は影響も含めて質問したいと思います。
 その点で、この間、連日報道されている日産自動車の工場閉鎖の問題を取り上げたいと思います。
 配付資料の一枚目に新聞記事がございますけれども、今月の十三日、日産自動車は、二〇二七年度までに国内外で七つの工場、国内に五つありますけれど、その閉鎖並びに二万人の人員削減を発表したわけであります。
 日産は、元々このトランプ関税の前から経営立て直し計画を検討してまいりました。さらに、トランプ関税の影響、不確実性もございまして、一層、ちょっとドラスチックな形で、事業構造の転換や工場の整理、集中化を進めるんではないかと思われます。
 したがって、この日産の問題というのは、確かに日産の経営問題があるわけですけれども、他の自動車大手にも、掘り下げ方は違っても、同様の、多かれ少なかれ事業構造の転換、海外移転、戦略転換が行われて、人員削減や下請の整理が進むんではないかと。まあ黒字のところは、今の余力があるうちに余剰の部分を彼らから取って、経営者から取って、余剰の部分をやめてもらうといいますかね、削る方向に動くんではないかと思われますので、日産問題は、日産問題だけで終わらない、自動車産業全体に関わると思いますので、そういう点で質問させていただきます。
 やっぱり、この日産問題で政府がきちんと雇用、関連中小企業、地域経済を守る姿勢を示して、必要な指導や支援をできるかどうかが今後のこのトランプ関税問題に対応する試金石になるとも思います。
 その上で、日産の話ですけど、日産は国内には、神奈川県、福岡県、栃木県に五つの工場を持っております。削減計画案には神奈川県内の二つの工場が含まれているという報道がございます。現地では大変不安が広がっているわけですね。横須賀市の追浜工場は従業員数が三千九百人、平塚の湘南工場は千二百人、合わせて約五千人が働いておられます。さらに、県内にはほかにも日産の関連事業所が多数ありまして、そこで働く労働者も含めて、地域に大きな不安が広がっているところですね。
 まず、武藤経産大臣に伺いますけれども、この問題をどういうふうに捉えて、政府としてどう対応しようとされているか、教えてください。

○国務大臣(武藤容治君) 日産の件でお問合せをいただきました。
 御指摘の報道については、日産はまだ何も決まっていないとの説明を対外的に行っているものと承知をしているところです。
 その上で、一般論ですけれども、自動車産業としてのサプライチェーンに関連する中小企業も含めて、資金繰りに窮する中小企業向けの支援策として、我々はしっかりこれは対応していかなきゃいけないものと思っております。
 この先、細かいところはいいですか。いいですか、はい。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 確かにまだ確定的なことは日産言っておりませんけれど、武藤大臣、あれですかね、五月二十三日にNHKで日産のエスピノーサ社長の単独インタビューってあったんですけど、御覧になりましたか。

○国務大臣(武藤容治君) ずっとは見ておりませんけど、報道の一部は承知しているところです。

○大門実紀史君 確かに確定的なことはまだ出ていないんですけれど、あの単独インタビューを見ますと、エスピノーサ社長の、国内外で削減する七つの工場については現時点では最終決定していないと言っていますよね。しかし、生産拠点や人員の削減については、やりたくはないがやらなければならないと。工場の削減に当たっては、稼働率や生産モデルの切替え時期などを踏まえて検討を進めると。非常に実は具体的なことをおっしゃっているんですよね。
 日産というのは、子会社も含めて国内に、先ほど申し上げた五つの生産工場がありますが、稼働率の低さというのはずっと彼らの課題になってきましたよね。
 例えば、国内の生産力どうなっているかというと、神奈川県の追浜工場が約二十四万台、湘南工場が十五万台、福岡県、日産自動車九州が五十万台、日産車体の九州が十二万台、栃木の栃木工場が十九万台、合わせて約百二十万台の生産能力があると。しかし、実際は、昨年一年間で日産の国内生産台数は六十四万台ということで、半分の生産にとどまっているわけですね。生産能力の半分しか稼働していないと。それで、それを整理するということに言っているわけでございますが。
 日産、元々、大本は国内販売の落ち込み、海外生産の拡大、したがって、輸出拠点としてのそういう工場はもう役割が低下してきて、それをずっと抱えていて、それをどうするかということで今回の経営立て直しになってきて、さらに、トランプ関税ということでこれを急速に進めるということだと思うんですよね。
 したがって、具体的な内容は決まっていないとしても、公表していないと。実は持っていると思うんですけどね。この稼働率の低いところを整理するだけというようなイメージがあるんですけれど、実は稼働率低くても、そこに実際今働いている方がいるわけですね。そこの仕事をやっている関連中小企業がいっぱいいるわけですね。ですから、日産にとっては、稼働率、稼働能力のないところを整理するというだけかも分かりませんが、そこに働いている人がいるわけですね。雇用があるわけですね。したがって、これは大きな影響を与えることになるのは間違いないんではないかというふうに思います。
 これは、済みません、事務方でも結構なんですけれど、神奈川県内にこの日産との取引のある、直接間接に取引のある企業がどれぐらいか、経産省、把握しておられますかね。

○政府参考人(伊吹英明君) 申し訳ございません、今手元に数字を持ち合わせてございません。

○大門実紀史君 ああ、そうですか。
 済みません、これもう発表されているんですけど、東京商工リサーチですよね、みんな関心持って見ているかなと思ったんですけど、結論から言いますと、日産と直接間接に取引のある企業は千七百五十七社らしいですね、商工リサーチの調査でいいますと。産業別に見ますと、自動車部品メーカーなどの製造業が五百四十二社。実は神奈川県内の輸送機械の製造業は千五百社ですから、何と三分の一は日産関係なんですね、日産関連なんですね。大きいんですよね、日産というのは。自動車部品だけではなくて、サービス業が三百五十七社、卸売が三百二十社、あと、建設、小売、運輸と続きまして、非常に裾野が広いというか、関連が広いんですよね、関連企業がたくさんいる、多いわけですね。しかも、売上高別で見ますと、一億円以上十億円未満が全体の約四割、一億円未満が一七%で、要するに六割以上が中堅、中小でございます。
 ということは、大変大きな経済全体に影響を与えるし、関連産業ありますから、特に横須賀とか平塚とか、もう町ごと、町ごと大きな影響を与える問題だということでございます。
 じゃ、政府としてどういうことをやらなければいけないかというふうなことなんですけれども、神奈川県の黒岩知事は日産の社長に、工場閉鎖はやめてほしいという申入れをやられておりますね。そのときも、エスピノーサ社長は、現時点ではまだ決定していないというふうにおっしゃったんですけれども、やはり地元の問題で、黒岩知事は、とにかく決まっていないならやめてほしいということまで強く強くおっしゃっております。ちなみに、もう報道されていますけれど、日産の本社、横浜本社の売却もテーマになっていますよね。それが一千億ですかね、資産価値。実は、県は、その企業誘致政策通じてその本社に約三十億助成してきているという関係もあって、強く黒岩知事はおっしゃっているんだと思います。
 あと、横浜商工会議所の会頭も日産の理事に面会をして、決まっているいないじゃなくて、やめてほしいということをおっしゃっていますね。あと、どういうわけか、小泉進次郎さんも社長と会っていろいろ申入れされております、まあ地元ですからかね。
 申し上げたいことは、自治体の首長さんもこれだけ危機感持って日産に、まだ計画は決定していないというのを分かっていても日産に会って、やめてほしいというか、最小限の、影響は最小限に食い止めてほしいということを、しわ寄せがないようにおっしゃっているわけですね。私は、自治体だけじゃなくて政府としてもやはりきちっと、まだ未定だから言わないんじゃなくて、そういうことはやめてもらいたいということと、地域経済、雇用や関連企業に影響のないようにしてもらいたいということは政府としても言うべきではないかと思うんですけど、武藤大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(武藤容治君) 地元の御不安というものは、これはもっともな話だと思いますし、今の波及性から考えると、極めて我々としては真剣に注視をしていかなきゃいけないと思っています。
 日産の新社長には、この前、全体の会議で私もお会いしたことありますけれども、いずれにしましても、委員御承知のとおり、何とか物価を上回る賃金を何とか今年は確保しなきゃいけないから、価格転嫁しっかりやってくださいというお話もお願いをしているところですけれども、今後とも、しっかりまた注視をしていかなきゃいけないと思います。

○大門実紀史君 事態動きますので、時に応じて経産省としても対応してほしいと思います。
 一番、まず、下請といいますか関連中小企業、サプライチェーンに影響が、しわ寄せ行かないように考えなきゃいけないんですけど、この点で実は日産は心配な企業なんですよね。大臣も御存じかと思いますけど、昨年、公正取引委員会から日産は、下請代金支払遅延等防止法、いわゆる下請法ですよね、の違反で勧告されております。これは、大臣、御存じでしたか。

○国務大臣(武藤容治君) 昨年の三月七日の、日産自動車は、下請法で規定する下請代金減額の禁止に違反する行為があったとして公取から勧告を受けたことは承知をしているところです。

○大門実紀史君 この内容なんですけど、これはもちろんトランプ関税の前です。何をやったかというと、日産は、下請の、部品等の製造を委託している下請企業三十六社に対して、割戻金を差し引くという手法で、要するに日産の、自社の原価低減を目的にして下請代金の減額をやっていたということが分かって、勧告、違反だということで、下請法違反だということで勧告を受けたんですね。総額三十億二千三百六十七万円ですから、一社当たり一億近い減額をやったというひどい話でございますよね。この点踏まえて、日産には、特にこのしわ寄せ、下請へのしわ寄せ、これやらないようにということは強くやっぱり経産省としても求めていっておいてほしいなと思うんですね。
 実は、このとき公取は、日産だけじゃないんですよね、大手自動車企業全体に警告といいますか、強く警鐘を鳴らしております。業界団体に対する周知啓発活動ということをこのときにわざわざ発表しておりまして、自動車製造業においては近年、本件と類似の違反行為が生じ、つまり、日産のようなことをほかの、名前言いませんが、大手の自動車会社がやっているということなんですね。公取は、もうこの下請法に基づいてそういうところにも勧告してきたし、今もいろんなところで起きているということをわざわざコメントして、このような状況を踏まえて引き続き自動車製造業における下請法違反行為に対し厳正に対処をしていくということと、改めて業界団体への周知と啓発活動を行っていくということをわざわざ声明出しているんですね、わざわざこのときにですね。
 つまり、申し上げたいことは、自動車産業ではこういうことがずっと続いてきたと。だから公取もここまで、まだやっているのかという意味で出しているわけですね。それで、このとき、三月十四日ですね、日本自動車工業会に対しても、公取から会員企業に下請法違反の事例を周知して、そういうことがないようにということを徹底してもらいたいということを要請したということでございます。
 これはトランプ関税前の話でございますけど、以前から、日産だけではなくていろんな、トヨタもあったんでしょうね、ホンダもあったんだと思うんですけれども、実際ありまして、下請への優越的地位の濫用とか下請法違反が多い業界、元々多い業界なんですね。
 したがって、今回のトランプ関税でこういうことになりますと、更に心配される、一番心配される業界がトランプ関税で一番打撃を受けるかもしれないということはありますので、これは経産省として、日本自動車工業会とはいろんな連絡はあると思うんですよね。やっぱり公取がここまで言っているので、経産省としても、日本自動車工業会にこういうことのないように是非伝えてほしいと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(武藤容治君) 昨年のそのお話を受けて、今回、下請法改正もあり、この前も業界団体にお願いをしたところですけれども、適正取引への配慮を要請したところであります。
 私自身もトップに、先ほど申したとおり、団体のトップに会いましたけれども、関税措置の影響拡大が見込まれる場合、ここはちゅうちょなく追加の対策を講じることをやらなきゃいけないと思っています。例えば、セーフティーネット貸付けの金利引下げなどについても検討することとしているところです。
 総理からも、中小企業支援には万全を期すように御指示をいただいているところでもありますので、しっかりと現場の状況を把握しながら、実態に即した形での効果的な支援策を今後とも引き続き検討していきたいというふうに思っています。

○大門実紀史君 やっぱり、相当の事業展開とか海外移転とかモデルの転換とかいろんなことをやると、それだけ整理される人たちが心配されるわけなので、自動車工業会ですかね、日本自動車工業会に是非そういうことのないように伝えてほしいなと思います。
 雇用の問題なんですけれども、日産が二万人の人員削減と言っておりますけど、これ、かつてあったように、何か大リストラ計画として発表するのか。今なかなか、そういうことをやると社会的にも批判されますよね。日産のこのケースだと、五つある工場で、何というか、事業転換といいますか、考えますと、やっぱり稼働率の問題も含めて、閉鎖する工場と残していく工場と分かれてくると思うんですね。地理的に有利な場所もありますよね、アジアに輸出することも含めてですね。そんなことを考えると、神奈川はやっぱりみんな不安になるわけですね。
 そのときのリストラってどういうふうにやるんだろうと思うと、私いろいろ見てきましたけど、いきなりリストラじゃなくて、まず異動してくれと、異動から始まるんですよね。みんなそう簡単に異動できませんから、その時点で異動できないとか、ましてや契約社員、まず切られるのは契約社員、非正規だと思うんですけど、そんな例えば神奈川から九州まで行ってくれと言われたって、できませんよね。そこのところで、いきなり解雇じゃなくて、まず異動してくれというところから始まって、だんだんだんだん契約を更新しない、できない、しないということがつながっていって人が減っていくというのがこの間あるわけですね。
 そういうふうに考えて、厚労省として、この雇用維持についてはよくよく目くばせして、単純にリストラしないでくれとかいうことだけじゃなくて、中身も見ながら雇用を維持してほしいということを是非取り組んでほしいと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(福岡資麿君) 大変恐縮ですが、個別企業への対応については回答を差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますと、御指摘いただきました雇用の維持、大変重要な観点だと思います。
 景気の変動等の経済上の理由によりまして急激に事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対しまして、従業員の雇用維持を図るために、休業手当などの一部を助成します雇用調整助成金の活用などが考えられます。事業主から雇用調整に係る相談があった場合には、全国の労働局等において丁寧な相談対応を行い、必要に応じて雇用調整助成金の活用を促すなど、適切に対応してまいりたいと思います。

○大門実紀史君 まだこれから始まることでありますけれど、きめ細やかによく見ながら対応をしていっていただきたいというふうに思います。
 ここで、厚生労働大臣と経産大臣は御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

○委員長(片山さつき君) 厚生労働大臣、経済産業大臣、御関係の方においては御退席していただいて結構です。

○大門実紀史君 次は、消費税でございます。
 午前中、自民党の進藤先生から、消費税減税について丁寧に否定する御質問がございまして、私、てっきり参議院の自民党の先生は減税しろという質問するのかと思ったら、そうではなかったので、ちょっとびっくりしましたけど。報道によれば、私よく分かりませんが、参議院の自民党の皆さんの八割は消費税減税を執行部に求めたというふうに報道があります。
 やっぱり、これはある方に聞いたんです、自民党の先生に聞いたんですけれども、土日、地元に帰りますと、前と違って今は中小企業の社長さんなんかから、重いのが三つあると。一つは借金だと、二つ目は社会保険料だと、三つ目には納税。赤字でも納めなきゃいけない消費税というのは、あれは付加価値に掛かるようなものですから、納税どうしてもしなきゃいけないと。これが物すごく重くなるということで、消費税という声は実際あるよということを聞いたことがあるんですけれども。
 いろんな理由があるんですけど、この今日の中小企業、特に物価高騰、資材高騰、トランプ関税、不安が広がっていますよね。こういう中小企業の負担を減らすためにも消費税の減税というのをやっぱり決断すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 消費税については、この国会でも幾度も同じことを言って恐縮でございましたけれども、急速な高齢化に伴い社会保障給付費が大きく増加する中において、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置付けられていることから、政府として消費税の引下げを行うことは適当でないと考えているところでございます。
 また、経済対策として消費税の減税を行うことについては、全国の事業者において、新たな税率に対応するためのレジシステムの改修、新たな値段設定の検討等、様々な影響が生じるため相当の準備期間が必要であること。また、高所得者や高額消費も含めて負担軽減がなされることとなるため、物価高に最も影響を受ける低所得者への支援という意味では効率性が乏しいなどに留意する必要があるというふうに考えているところでございます。

○大門実紀史君 もう何十遍も同じ質疑をしている気がいたしますけれども、繰り返し出るのは、消費税は社会保障の財源というのが出ますよね。
 繰り返し違うということを申し上げてきているわけですけど、一つは、お手元の資料にありますけど、消費税は元々社会保障のために導入したんじゃなくて、経過からいって直間比率の見直しから始まりました。これは、去年十二月に加藤大臣とも議論したことでございます。
 それでも、覚えているのは、三から五になるときに、三から五に引き上げようというときに、社会保障という話が、将来の社会保障のためにという言葉だけが出てきて、結局は二〇一二年の税と社会保障の一体改革の関連で消費税法が改定されました。そのときに、消費税の税収は、年金、医療、介護の社会保障給付と、あと少子化対策でしたかね、少子化対策の経費に、財源に、経費に充てるというようなことを法律に書いたからと、書いたから、だから消費税は社会保障の財源ですということはずっと言われているんですけれど、法文に書いたらそうなるものじゃないんですよね。
 だって、消費税は目的税でありませんから、書いてあったって、どこに使われる、一般税収ですから、どこに使われるかといっても、色はないわけですよね。だから、ただ書いているだけなんですよね、書いているだけなんですよね。あの税収はどこに使われるかというのは別に分からないと分からないわけですね。しかし、ああいうふうに書いたからそうなんだと、消費税は社会保障の財源なんだということを言い続けておられますけれど、実際問題、目的税でもありませんから、そう言える、言い切れるものではないんだと思うんですけど、いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 御指摘のように、まさに特定財源ということではないというのはそのとおりだと思いますけれども、委員御指摘のように、これまでの法文等の中での御議論の中で、社会保障に充てる、そして今おっしゃっていただいた高齢者三経費プラス少子化の経費に充てるということでるる議論をした中で、特に五%から八%、八%から一〇%に上げる際には、それをベースに議論をしてきた経緯があるということでございますので、我々はそれを前提にそうした説明をさせていただいているということであります。

○大門実紀史君 ですから、それ、説明は法律に書いていますよというだけで、実際お金が入ってきて、社会保障なのかどこなのか、どこにも分からないわけですよね。だから、それを何か書いたから、消費税は社会保障の財源です財源ですというふうになっていないですよね。
 お配りした資料の三枚目ですね、要するに、直間比率で見て、この三十年でどう変化したかと見てもらって、その税収、税収がありますよね、かつては直接税、まあ税収全体ですけど、直接税が中心を占めていたと。それが、だんだんだんだん消費税を導入して間接税の比率が高まってきたと。これだけの話でございまして、別に、もちろん直接税を社会保障の財源、こちら側に歳出があるとしますよね、それが税収としますよね、歳入としますよね、まあもちろん、社会保障だから社会保険料もありますけれど、税だけでいうと、社会保障の担っているのは直接税と間接税があって、かつては直接税が多かったけど、今は間接税の比率が増えてきていると。それだけのことであって、何か別に、社会保障財源が消費税でなければならないとか、どこにもないわけですよね。
 私たちは、やっぱり今、空前の利益を上げている、ちょっとこの間しんどいかも分かりませんが、大きな企業もうかっていて、税のおまけしてもらっていますから、そういうところとか、アベノミクスのおかげで株主が大変もうかっております。それが一億円の壁ね、私よく取り上げましたけど、優遇されていますから、そういうところからもうちょっと応分の負担してもらって、その図の直接税の方を増やしたって、別に社会保障の財源は確保できるわけですよね。
 そういうことを申し上げているので、別に消費税でなければ、社会保障の財源は消費税でなければいけないというのはどこにもないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君) もちろん、社会保障について、諸外国においてもたしか質問をいただいたことがあると思います。そういった国で、日本ほどそうしたことを念頭に置いているわけではない。一部についてはそういった社会保障に充てるという規定でやっているところも、あるいはそうした一部の税収を充てるというところはあります。
 ただ、先ほど申し上げたように、これまでの議論と、そして、特に五%から八パー、八パーから一〇パーの社会保障と税の一体改革においても、やっぱり社会保障の充実と消費税という形で議論がされ、そして、その財源として大事な財源だという認識の中でこれまでやってきたと、こういった経緯があるということは申し上げられると思います。

○大門実紀史君 また議論したいと思います。
 ありがとうございました。

討論

○大門実紀史君 日本共産党を代表して、予備費関連四案について討論します。
 まず、原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費、いわゆる特定予備費の支出には、承認に反対です。
 これは、岸田政権の総合経済対策として行われたものですが、定額減税は自営業者の家族や事実婚パートナーの被扶養者が対象外とされ、給付も遅く翌年になってしまうなど、制度設計そのものが失敗だと厳しく批判されました。
 そもそも、物価高騰によって急迫する国民の暮らしを支援するために、給付や税の在り方は、生計費非課税、応能負担の原則に立ち、国会で審議を尽くさなければならなかったにもかかわらず、こうしたびほう策を重ね、びほう策で経済無策を重ね、今日、国民の暮らしを窮地に立たせる政府の責任は極めて重大と言うべきです。
 また、特別会計予備費は、二〇二三年の商工中金法改悪の下、商工中金の完全民営化を狙って、その株式をできる限り速やかに全株売却するよう求めた財政制度審議会の答申に沿い、みずほ証券株式会社に助言等を求めた約一億円の支出を含んでいます。これは、政府系金融機関の役割放棄と国庫収入に大きな穴を空けかねないものであり、承認できません。
 一方、一般会計予備費については、能登半島地震の災害による必要な支出等であり、承諾します。また、特別会計総則経費増額も同様に承諾をします。
 以上です。

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