国会質問

● ● ● ●  大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2025年5月16日 参議院 消費者問題特別委員会 公益通報者保護法の課題について 内部告発者の保護こそ
<赤旗記事>

2025年5月18日(日)

内部告発者の保護こそ
公益通報者保護法改正案 大門氏求める
参院消費者特委

(写真)質問する大門実紀史議員
=16日、参院消費者特委

 日本共産党の大門実紀史議員は16日の参院消費者問題特別委員会での公益通報者保護法改正案の質疑で、地方自治体の内部告発者が適切に保護されていないとして、消費者庁に自治体への指導を求めました。

 斎藤元彦兵庫県知事が自身のパワハラを外部通報した職員について「保護は内部通報に限られる」と間違った法解釈を繰り返し、懲戒処分を正当化している問題を巡り、伊東良孝消費者担当相は、同庁が兵庫県に一般的な法解釈を伝達済みだと答弁。大門氏は、伝達後も同知事は間違った解釈を主張し続けているとして、担当相に同知事に誤りを指摘するよう求めました。

 伊東担当相は、本会議での同担当相の答弁によって、斎藤知事には「消費者庁の法解釈を理解してもらった」などと強弁。大門氏は「斎藤氏は『受け止める』と言っただけで解釈は変えていない」と反論しました。

 現行の公益通報者保護法では、消費者庁は国や地方自治体に指導や勧告ができないとしています。大門氏は、不正を告発した地方自治体職員が懲戒処分などを受け訴訟に至った事例を挙げ「これは氷山の一角だ」と強調。消費者庁作成の地方公共団体向けガイドラインには、同庁の役割として「通報事案に対する適切な対応確保のため、各地方公共団体に対し必要な助言、協力、情報提供などの援助を行う」と明記されていると指摘し、適切な指導をすべきだと主張しました。

 さらに、公益通報のための内部資料の持ち出しが通報者保護の要件になっていない問題を指摘。資料持ち出しを免責要件とする法改正を求めました。

<議事録>

○大門実紀史君 大門です。
 私もまず、兵庫県の齋藤知事問題について取り上げようと思ったんですけど、もう既に大椿さんから大変厳しい追及もありましたんで、ただ、先日の私の本会議の大臣の答弁がちょっと余りにもひど過ぎて、ひどい答弁のせいか、ユーチューブの再生回数が十万回を超えるというような状況になっております。
 要するに、申し上げたかったのは、申し上げたいのは、齋藤知事が、法の解釈権は消費者庁にあるのに、勝手な、いろいろ加えて勝手な解釈を発信し続けていると、いまだと。そのことに消費者庁が、もう仕方がないんだと言って諦めてということではなくて、やっぱり毅然とした対応をしてほしいということが基本なわけなんですけれども。
 ただ、ちょっと私、田村まみさんからもあったんで、ちょっと事務方に答弁書について申し上げたいんですけれども、今回の本会議の質問の原稿、前日の早い時間に、しかも、直接消費者庁の方来てもらって、丁寧に質問の趣旨も説明したんですよ。
 普通、本会議は、原稿だけ本会議担当に出すだけなんですよね。説明なんかしたこと一度もありません、二十何年間で。今回は、非常にいい改正を皆さん頑張られたんで、丁寧な説明をして、お互い丁寧なやり取りしたいと思ってせっかく出したのにもかかわらず、もう訳の分からない答弁書で、聞いていることと違う、何か、何ですか、事実関係の認定は裁判所がやるとか、聞いていないよ、そんなこと。それを、とんちんかんな答弁が幾つも続いて、何なんですかね、わざわざ丁寧にあれだけ説明したのに何でこんな答弁書を書いたのかというふうに、ちょっとどうなっているのかと思いますよ。せっかく本会議で、あのときも、今回、消費者庁頑張ったんで、敬意を表するというめったに言わないことまで言っているわけですよね。もう言って損したなと思いましたけど。どうなっているのかなとちょっと思っちゃうんですね、こういうことそのものがですね。
 それで、大椿さんとのやり取りは見ましたのでもう繰り返し言うつもりはないんですけれど、要するに、兵庫県、齋藤知事に対してこれ以上何か言うつもりはないと答弁されましたですね、さっきですね。なぜそんなこと決め込むのかと、決め込むのかと。相手が言っても仕方ない人だから言わないのか。そうはいっても公職にある知事ですよね。これからいろんなこと発信して、昨日も今日も、おかしいですよね。それをもうこれ以上言わないと決め込むことそのものが何なんだというふうに思うわけですね。
 もうしつこくは言いませんが、民間人がいろいろ言われるのは、それはもう仕方ないですよ。公職にある知事がこういうことをずっと、消費者庁の見解と違うことをずっと発信し続けることを、消費者庁がもう言ったからもう言わないんだと決め込むことそのものがどうなのかと思うわけでありますので、事態の推移によっては、必要なことをやはり所管省庁として、あるいは今度はもう大臣として、事務方が言っても全然聞かないわけですから、時には大臣としてしっかり言うこともこれからはあるんじゃないかと思うんですよね。
 決め込む必要はないと思うんですけど、大臣、一言、いかがですか。

○国務大臣(伊東良孝君) これまでも何度か同様の質問いただいております。
 消費者庁は、兵庫県に対しまして、四月八日に、法定指針に定める公益通報者を保護する体制の整備として事業者がとるべき措置について、公益通報者には二号通報者、三号通報者も含まれているよという旨、一般的な助言として伝達をしているところであります。これに対しまして、今月十四日、兵庫県から、知事の解釈について消費者庁の法解釈とそごがない旨、確認をいたしているところであります。
 また、この消費者庁の法解釈につきましては、私自身も五月十四日の参議院本会議で答弁させていただきましたところでありまして、これを受けて兵庫県知事は、五月十五日の会見で、消費者庁の法解釈に関する一般論はしっかり受け止めていくことが重要と、こう発言をされたということでございます。
 兵庫県知事にも消費者庁の示した法解釈を理解していただいたものと考えているところでありまして、このため、現段階において、兵庫県に対して同じ内容について更に何か対応することは検討していないところであります。兵庫県のこれは県議会、県民等々が最終的にはやはり御判断することであろうというふうに思う次第であります。

○大門実紀史君 全然理解していないですよ、齋藤知事。どういう勘違いでそうなるんですか。重く受け止めますけど、今までやったことは間違っていないと言っているわけだから、全然解釈は今までのままと変わっていませんよ。ちょっと、どうしてそうなっちゃう。もっと御自分の、何というのかな、政治家として判断してもらわないと、読んでばっかりじゃ駄目ですよ、こういう政治的な話はですね。
 例えば、総務委員会で村上総務大臣は、政治家としてきちっともう、消費者庁の所管のことなんだけれどもと言いながら、ちゃんと自分の、これはおかしいという立場で、そういうニュアンスで答えておられますよ。それぐらいのことを担当大臣として言えなくてどうするんですか。
 伊東大臣、先ほど言われましたけど、元釧路の市長さんですよね。私も釧路は何度も行って、釧路は大好きなところでございますし、二〇一四年ですかね、釧路で阿寒湖にカジノを誘致するという話があって、賛成派、反対派一緒のいい議論をするシンポジウムがあったんですよね。賛成派は当時の蝦名市長さんですね、蝦名市長さんが賛成派で、私は反対派で、結構議論したりして、なかなかいい議論もして。
 いいところですよね、釧路は。幣舞橋とか、夕方、夜きれいでございますし、何かおおらかな港町で、温かい、人も温かいところで、ゆったりしたいい町だと思います。大臣もそういう釧路の人という雰囲気はあるんですけれど、ただ、釧路の中でも消費者被害っていっぱい起きているんですよ、実は。結構多いんですよ、釧路というのは。弁護士さんたち、いっぱい頑張っているんですよね。
 これから申し上げますけど、結構地方自治体の方がいろんな問題が生じているので、やっぱり消費者庁がちょっとイニシアチブを、指導しながらやらないと、そう簡単に地方の問題、兵庫だけじゃないんです、実は、解決しないわけであります。
 以下、藤本審議官に聞きたいと思いますけれど、これ一般論で結構なんですけど、今回、消費者庁が、兵庫含めて地方自治体への働きかけですよね、これ、地方自治法に基づく技術的助言、一般的な助言しかできないというようなことは繰り返されていますよね、地方自治法に基づいてと。一方、これちょっと教えてほしいんですけど、公益通報者保護法の第十三条に行政機関のとるべき措置とあって、第十五条に消費者庁の権限が書かれておりますよね。
 要するに、事業者、これ地方自治体も含むと思うんですが、法の趣旨に反した事項を行っている場合、行った場合、これは十五条に基づいて、消費者庁は報告を求め、助言、指導若しくは勧告することができるとありますよね、ありますよね。ですから、消費者庁は場合によっては地方自治体にもこういう指導権限があるんではないかというふうに私読むんですけれど、それは、そういう理解は違うんでしょうか。

○政府参考人(藤本武士君) お答えいたします。
 地方でも個別の事案は起こっておりますけれども、それについてのお答えは差し控えさせていただきますが、一般論としまして、これまで消費者庁では、地方公共団体向けに通報対応のガイドラインを作成しているほか、行政機関の体制整備の状況について定期的に実態調査を実施しています。消費者庁では、この実態調査の結果や行政機関からの要望等も踏まえて、様々な行政機関に対して制度の概要や必要な対応についての研修も行っているところであります。
 さらに、民間事業者と異なりまして、行政機関の体制整備に対する実態調査結果は個々の行政機関ごとに結果を発表しているところであります。各地域の行政機関は、体制整備の義務を適切に履行することで地域の住民に対する責任を果たしているというふうに考えているところです。
 消費者庁としましては、今回の改正後、法の施行に向けて、全ての行政機関に対する実態調査を改めて実施をして、その結果を踏まえてきめ細やかな情報提供を行うほか、行政機関における制度の普及、浸透に努めてまいりたいというふうに考えています。

○大門実紀史君 藤本さん、しっかりしてくださいよ。私聞いているのは、この公益通報者保護法に決められている消費者庁の権限、指導権限、これが地方自治体に及ばないんですかと聞いているんですね。

○政府参考人(藤本武士君) お答えいたします。
 この十五条の助言、指導、勧告につきましては、第二十条のところで、第十五条及び第十六条の規定は、国及び地方公共団体には適用しないという形で、国と地方の公共団体については適用除外となっているところであります。
 よってもって、これまでも地方自治法の第二百四十五条に基づく技術的助言、これはできますので、この範囲で対応するとお答えしているところであります。

○大門実紀史君 承知しております。
 今それが問題になっているんではないかと思う事例を次に、もう適用除外にしている場合ではないんじゃないかと。
 資料をお配りいたしましたけれども、いろんな問題が起きておりまして、地方自治体には今あった地方自治法の関係があるんで、適用除外というか取りあえずやらないと。ところが、もういっぱい問題が起きているんですね。
 まず、@はこれ福島県の国見町です。これは高規格救急車等の研究開発事業をめぐって不正があるんじゃないかということを公益通報した町の職員が懲戒処分されたという事例でございます。これ、藤本さん答弁されておりますけど、国会で、衆議院で取り上げられていますよね。やっぱりこの懲戒処分した理由が妥当ではないということがあって、町長が替わられたんでしょうか、降格されたのがまた復帰した、管理職に復帰したということで審査請求は取り下げたという事例で、ということですね。
 二つ目、下の和歌山は、これは和歌山市の男性職員、当時二十八歳の方が、児童館における公金の不正使用について、それに関連して懲戒、公益通報した人が懲戒解雇されて、その同じところにいて、この方も、この方の場合は、それを横で見ていてストレスや嫌がらせに遭って、同じ部署でですね、おかしいと思っていた人たちですよね、結局、自死に追い込まれた事例ですね。
 三つ目が京都市でございまして、これは京都の児童養護施設の中で行われていた性的虐待を児童相談所の職員が公益通報をしたと。そのときに資料を持ち出したということ、それを理由に京都市は二〇一五年に懲戒処分をしたわけでございます。これ、公益通報、真っ当な公益通報ということで、裁判をして、二〇二一年に最高裁は処分の取消しを求めて、損害賠償裁判も二〇二三年に京都地裁が京都市に対して損害賠償を命じるというようなことがあったわけですよね。
 こういうことが起きているということなんですね。先ほどの適用除外を含めて、ちょっと今まで余り公益通報そのものがこれだけクローズアップされていない中で、一般的な地方自治法との関係で適用除外としていたわけですけれども、やはり本当にこれだけの問題が起きていると。これは本当に氷山の一角で、いっぱい起きているはずなんですね、全国で。それ考えますと、もっと消費者庁がきちっと対応すべきじゃないかと思うんですね。
 一つ申し上げたいのは、まず、何でこんなに全国でいろんなことが起きる、何が足りなくてこんなことが起きているんでしょうか。

○政府参考人(藤本武士君) お答えいたします。
 個別の事案についてのお答えは差し控えさせていただきますが、かつ、御質問なかなか難しい点でございますけれども、一般論ではありますが、地方におきましては、内部通報制度の認知度等につきまして、都市部よりも理解度、認知度が低いとする調査結果が出る傾向がございます。公益通報者保護制度やその意義についての理解が十分に進んでいない面があると考えています。このため、通報を契機としたトラブル等も起きやすいのではないかと考えているところであります。
 消費者庁といたしましては、今後の実態調査の結果も踏まえまして、より周知が必要と考えられる地域ですとか、あるいは事業者であれば、業種ですとかあれば、これを分析をして、重点的に制度の啓発活動を行うことを検討してまいりたいと考えています。

○大門実紀史君 実は、先ほど藤本さん言及された地方自治体の通報体制に関するガイドラインというのがありますよね。内部の職員からの通報の場合というのがあって、その中にこういうことが書かれているんですよ。事実上、私、指導できるんじゃないかと思うんですけれども。
 そういういろんなことがあって、個別の通報事案に対する適切な対応を確保するために、こういう事案に対して適切な対応してもらうために、消費者庁は、各地方公共団体に対して必要な助言、協力、情報の提供その他援助を行うと。適切な対応を確保するためというのが付いているんですね。一般的な助言じゃないんですよね。そういう点でいうと、これ、ほぼ半分、意味はもう指導と、指導に近いと思うんですよね。
 これは、少なくともこの三つの事例にはこういう、もう中身は指導だと思うんですけれど、個別の通報事案に対する適切な対応を確保するための助言だからほぼ指導ですけど、今も新聞で申し上げたこの三つのところにはこういう助言、指導に近い助言というのはされたんでしょうか。

○政府参考人(藤本武士君) お答えいたします。
 個別事案につきましてはお答えを差し控えさせていただきます。
 ただ、我々といたしましては、特に地方公共団体の公益通報者保護法の施行に当たっては、先ほどの研修ですとか、あるいは、これは日々対応させていただいていますが、法解釈につきましてのまさに助言ですとか、そういったところは対応させていただいているところであります。

○大門実紀史君 今おっしゃったのは、ほぼ指導に近いと思うんですね。その指導できないとか、そういう適用除外とか、そんな固く言わないで、きちっと必要な適切な指導をするぐらいに変えても、これからはその方がふさわしいと思いますよ。
 それと、法改正の関係で、この事例にもあるんですけれど、裁判例において資料を、先ほどもありましたよね、事実証拠示すために資料を持ち出すという行為ですね。これを、もう裁判例では、持ち出しても、それで懲戒処分、その理由で懲戒処分をしたら無効という事例がいっぱい出ているんですね、出ているんですね、実際にはですね。公益通報の目的に合致していればですね。
 そうであれば、もう公益通報者保護法の上で免責要件と定めた方が、お互い、通報する方も、事業者、双方にとって、自治体にとっても、予測可能性高まるんじゃないかと思うんですけど、次の改正なのか分かりませんが、ちょっと検討したらいかがでしょうか。

○政府参考人(藤本武士君) お答えいたします。
 資料持ち出しについて免責をすべきではないかというところは、今回の改正に当たっての有識者の検討会でも一つの論点として議論がなされた部分であります。
 委員御指摘のとおり、裁判例におきましては、通報に伴う資料持ち出し行為を理由とする懲戒処分を無効としたものが実際複数見受けられます。ただこれは、やはりその個別の裁判一件一件で、通報との関連性ですとか、あるいは通報者の動機、行為の態様、影響等を細かく事実認定をして、見た上で、総合的に判断したものと承知をしております。
 これをやはり規定の中で一律の何らかの要件を設けて、これをその免責にするというところはまだまだ課題が多いと考えていまして、現状では難しいと思っています。やはり、その事案ごとに事情を総合勘案して判断することが現時点では妥当ではないかと考えているところです。

○大門実紀史君 違うんですよ。逆に言うと、これがあるので、これを恐れて通報できない人がたくさんいらっしゃるわけですね。だから、通報できるような要件、具体的に、できないから始めるんじゃなくて、できないから始めて二十何年間ほとんど何の改正もなかったようなものなので、今回皆さん頑張られて、実効性あるわけでしょう。それをできない、できないと言っていたのを、やる方向で考えられたからできたわけですよね。
 そういう点では、やろうと思えばできると思うんです、この要件の、提案しろってできますから。それは何でもかんでもってわけじゃありませんからね。そういう点も含めて検討していただきたいというふうに思います。
 残りは次回また質問いたします。ありがとうございました。

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