<議事録>
○大門実紀史君 大門でございます。
四月の十五日の委員会で取り上げたリースバック問題について、その続きを質問したいと思います。
この間、マスコミも大変注目が集まって、配付した資料は五月十一日の日経ですけど、実は今日の、今朝の日経も社会面で大変大きく取り上げている問題です。この間、朝のワイドショーなどでも取り上げられております。
リースバックというのは、改めて少しだけ申し上げますと、この資料の右側にございますけれども、売主が住宅を売却します。その後は代金を一括で受け取って、あとは賃料、家賃を払いながらそこに住み続けるという形でございます。
これがなぜそんなにトラブルが多いかというと、特に高齢者なんですけれども、老後の資金が少ないとか年金が足りないと、しかし家は持っていると。で、自宅を売って現金を手に入れて、それを老後の生活費に充てるというケースが基本的にはあるわけですけれども、実際、その買い取られた金額、得た金額でその後の生活費と家賃が払えるのかと、ここに落差があるわけですね。長生きすればするほどお金掛かりますから、売却した代金では足りなくなるわけですね。そうなると、家賃が払えなくなって、出ていけということになって追い出されて、住むところも失うということでございます。こういうトラブルですね。
前回御紹介したのは、悪質な事例ということで、押し買いということで、これは特に高齢者とか軽度の認知症のある方とかのところに押しかけて何時間も居座って契約させるという事例を前回紹介したわけでございます。
実は、前回質問させていただいた後、何といいますか、心当たりのあるリースバック業者から幾つか連絡もありまして、関心を持ってもらって、そういうことが起こらないように社員に徹底いたしますとか、あるいは、高齢者の契約は本人の意思確認や親族の確認をきちんとやるなど営業方針を改定しますなど、そういう改善の動きもあります。しかし、現場では結構まだ起きております。それは予防的にはいいことだと思いますし、また国交省も、私の質問の後、実は幾つかヒアリングにも入っていただいて、早い対応に感謝したいというふうに思います。ただ、今日の新聞にも出ていますとおり、報道にもあるとおり、まだまだトラブルや被害が広がっているんですね。広がっている状況なんですね。
そういう点で、国交省としての問題意識と対応について、改めて大臣から御答弁をいただければと思います。
○国務大臣(中野洋昌君) お答えを申し上げます。
委員御指摘のリースバックにつきましては、ちょっと改めてになりますが、高齢期の住み替えなど国民の多様なニーズに応える手法の一つであり、これはしかし、健全なやはりリースバックの普及が進むということは、これはライフスタイルに応じた柔軟な住み替えを可能とするなど、国民の豊かな住生活の実現にも資するものと考えております。
一方で、リースバックは自宅の売買と賃貸借を組み合わせるという特殊な契約でございますので、理解が不十分なまま契約をし、トラブルになる事態が生じやすい面もあるものと認識をしております。
このようなトラブルを防ぐためには、利用者の方に内容を十分御理解いただいた上で契約をしてもらうことが何よりも重要でございますので、どのような利用が適切なのか、どのようなことに気を付ける必要があるのかなどの点について高齢者の方にも分かりやすい形で周知をすることが必要だと考えております。このため、令和四年にリースバックの適切な利用方法や検討時の留意点をまとめたガイドブックを作成をしまして、その周知に努めているところでございます。
様々な悪質なケースについての御指摘も議員からいただきましたけれども、高齢者等をトラブルから守ることを第一に、国民生活センターを始め関係機関と引き続き緊密に連携をして、状況もしっかり注視をしながら必要な対応を検討してまいりたいというふうに思います。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
国交省、幾つか対応していただいているのは承知しております。
私、実は長いこと消費者問題やってまいりまして、もちろん、そういうふうにいろんな理解を広げるというのはあれなんですけれども、大事なんですけど、高齢者被害防ぐ決定的な対策はやっぱりクーリングオフの制度、これがやっぱりいろんな消費者被害を防ぐ歯止めになっておりますので、導入が必要じゃないかと思うんですよね。
今、契約解除をするには、民法の五百五十七条ですかね、手付金を倍返しすれば解約できるというのがあるんですけれども、不動産ですから手付金も大きいし、倍返しだとまた大変なわけですよね。さらに、手続解除期間過ぎますと、通常の違約金の世界になるわけですね。また更に高額になるということで、諦めるケースが増えているわけで、多いわけですので、やはりクーリングオフの導入が必要ではないかと思います。
これは、今日は要望だけしておきますけど、是非研究してほしいんですけど、国交省でいいますと宅建業法三十七条の二ですかね、その適用範囲を拡大するという形で何とかクーリングオフということ、特に高齢者を守るために研究していってほしいなというふうに思いますので、通告しておりませんので、是非今後の検討してほしいということで、これは要望として申し上げておきます。
次に、消費者庁にお聞きいたします。
三枚目の資料に、国民生活センターがこの問題で、既にもう二年前から注意喚起の分かりやすいチラシを作っていただいているところでございます。つまり、もう既に二年前、これを出す前から、国セン、国民生活センターには幾つも相談が来ていたからこういうものを出されたんだというふうに思います。
書いていますとおり、リースバックで結んだ賃貸契約はずっと住み続けられる保証はありませんよと。つまり、契約のときに、売っても住み続けていいんですよと簡単に言われるもんですね、高齢者の方。ずっと住み続けられるのかと思っちゃうわけですね。実は、そういう仕組みではなくて、住み続けられる保証はないということを明確に書いていただいていますし、家賃が相場より高く設定されるケースが多いと。これは当たり前ですね。間に業者が入りますから、その分上乗せするわけだから、普通の借りるよりも高くなるということがあるわけですね。
こういうことがありますので、まあ申し上げたいことは、このリースバックというのは、健全な取引もあるかも分かりませんが、売却価格よりも売却した後の生活費と家賃の方が多ければ、これどっかで破綻するわけですよね。家賃払えなくなる、出ていかなきゃになるわけですね。
したがって、これは長生きすればするほど出ていかざるを得なくなるという仕組みでもあるわけで、そういうリスクあるということですね。そういう点も是非認識していただきたいと思います。
次の資料が消費者庁の資料でございますけど、消費者庁の対応について述べた資料でございまして、いろいろ言っているんですけど、要するに、自分の意思はっきり伝えて不要な話ははっきり断りましょうとか、内容を十分に理解しないまま契約しないようにしてくださいとか、すぐに契約せず周りの人に相談してくださいとか、当たり前のことを言っているだけなんですよね。わざわざこんなもの消費者庁が出すのかというのはあります。これ、一般的なあれはないんですけどね。
ちょっと何だと思ったのは、この赤線引いた部分なんですけど、要するに、消費者契約法はあくまで民事ルールなんで、最終的には裁判で争ってくださいと。これちょっと、消費者庁がこういうこと書くのかなというふうに思います。もちろん、最終的に裁判になるのは十分承知しておりますけれど、どう対応するのかと、裁判にならないように、どう被害をなくすように対応するということが消費者庁の姿勢であるべきだと思うんですね。よくまあこんな文書を消費者庁が出したなと思います。
黒木審議官、長い付き合いですけど、黒木さんの責任じゃないのは分かっているんですけれども、ちょっとこんな対応のままでいいのかどうか、いかがでしょうか。
○政府参考人(黒木理恵君) お答え申し上げます。
御指摘の資料につきましては、せんだって委員から御質問いただいたものに対して消費者庁から御提出させていただいた資料を基にお作りいただいたものと承知をしております。
また、委員にお答えするときもそうですけれども、特に一般の消費者の方々が、民事ルールとはいえ、それをどうやったら使えるのか、あるいは、自分自身で何か最後まで、裁判までやらなきゃ、やり切らなきゃいけないのかなみたいなことではなくて、消費生活センターへの御相談などもあるとか、そういうことを分かりやすくお伝えをしていくということは重要かなと思っておりますので、御指摘を踏まえて、いろんな発信の方法等、工夫をしてまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 是非お願いします。
黒木審議官、黒木先生は弁護士で、現場でいろいろ消費者問題やってこられたのはもうよく長いあれで知っています。
ちょっと済みません、黒木さんだから通告していないんですけど、さっき言った、やっぱりリースバック取引にもクーリングオフ必要じゃないかと思うんですね。さっきは国交省の世界は宅建業法と言いましたけど、消費者庁の世界で考えられるのは特商法、特定商取引法の中で何かできないかと思うんですけれども、今、特定商取引法の範囲は物品ですよね、動産ですよね。これ、不動産取引、高齢者をちょっと絞るところもあるんですけど、不動産取引で訪問購入があるわけですね。訪問購入規制としてクーリングオフ等の対象にするというようなことは、法の立て付けから考えられないものでしょうかね。取りあえず、感想でも結構なんですけど。
○政府参考人(黒木理恵君) 済みません、ちょっと特商法の詳細について確認がしておりませんので不確かな情報になるかと思いますけれども、特商法、特定商取引法という法律にクーリングオフの制度があるということは委員御指摘のとおりかと思います。他方で、例えば不動産が除かれているとか、あるいはほかの法律をもって特定商取引法と同程度あるいはそれ以上の消費者保護が図られているということで、例えば消費者委員会などにも御意見を伺って特定商取引法の対象から除外してもよいであろうということになっているものは除外をされているという関係にあるかと思っております。
そのような関係も整理しながら、どのような対応が今後できるのかということを考えていかなければいけないかなと思っております。
○大門実紀史君 ありがとうございます。是非これも検討課題にしてほしいと思います。
次に御紹介したいのは、資料はないんですけれど、もう一般的なリースバックトラブルじゃなくて、もう特殊詐欺、劇場型詐欺の手法がリースバック契約に悪用されている事例でございます。ちょっと資料はございません。
具体的に、今起きている事例を一つ紹介いたします。
今日は、仮に名前はA社としておきます。早晩、名前が新聞にも出るんじゃないかというような悪徳企業でございまして、具体的事例でいきますと、六十代と七十代の高齢の女性お二人がマンションを所有しておりまして、そのマンションを人に貸しておられます。人に貸しておる、賃貸されております。ここに対して、これ対象にしているのがそのA社なんですけど、代表は、名前も今日はO氏ということにしておきます。
そのA社は、この御兄弟、女性の姉妹のところに、まずマンション管理受託会社の従業員だという、名前をかたって電話を入れるわけですね。おたくが貸しているマンションに水漏れがありますよと。ところが、借りている人に連絡付かないのでオーナーであるあなたに連絡したんだと。被害者の方は、その姉妹の方は、管理会社に任せておりますといって、管理会社の名前を教えてしまうわけですね。
そうすると、すぐ管理会社の社長だという人から電話が掛かってきて、もう水漏れはちゃんと直しましたと。ついでにお知らせしますけど、入居者が七月には出るそうですよと、新たに今、次の人に貸しても賃料が下がるんで、売却したらどうですかと言うわけですよね。で、そのA社の社員がすぐまた電話してきて、一千万円で売りませんかと言うと。実はマンションの、その同じマンション、ほかの部屋が五百八十万で売りに出ているが、売れ残っていますよということを言うわけですね。何か、五百八十万ぐらいかなとまで思わせるわけですね。
今度は、東急リバブルの従業員の名前をかたって今度は電話を入れて、マンションの、おたくが貸しているマンションの別室が五百八十万で売りに出ているんで買わないですかと、おたくは買わないですかという、信用させるわけですね。
今度はまた管理会社の社長から電話が掛かってきて、入居者は八月に出ていくこととなりましたと。急いで判断してください。そこでまた、A社の社員がその姉妹のところ、オーナーのところに行って、五時間粘って契約をさせると。で、契約させたときには、これ以上値段が上がることはない、下がっていくばっかりですと、一千万ぐらいならお得ですよということで、一千万で契約させて買い取るわけですね。実際には九百万円で買い取る。で、売っちゃったわけですね。
このマンションは、そもそもそのまま普通に、普通の不動産業者に売却した場合は約二千万で売れる物件ですね。半値で売らされたということになります。
これは具体的に今も起きている事例でございまして、警察庁にはこの事業者の名前も住所も全部お知らせしてございます。リースバックのノウハウ、このO氏というのは誰か、どういう人かといいますと、元々リースバックを普通にやっている不動産会社の社員だったんですね。そのノウハウを持って、今度は特殊詐欺のノウハウを加えて、こんなことを新手で今やっています。恐らく、消費者問題のずっとやってきた経験でいきますと、できるだけ荒稼ぎして会社を畳むつもりではないかと思いますので、早い対応が必要かというふうに思います。
警察庁の方で対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(谷滋行君) お答えいたします。
個別具体の事案についてどのように対応するかということについては、大変申し訳ありませんけれどもお答え差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げますと、都道府県警察におきましては、個別事案の具体的な事実関係に即して刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づいて適切に対処をするというふうに承知をしております。
○大門実紀史君 御答弁はそれで結構です。
具体的に事実、証拠に基づいてお伝えしてございます。
申し上げたいことは、リースバックというのは、やはり売主、特に高齢者にはリスクのある取引でございます。だから、こういう悪質業者に利用されているということもありますので、これは消費者庁、国交省、各省問わず対応をできるだけ早く検討していただきたいなということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。