国会質問

● ● ● ●  大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2025年4月24日 参議院 国土交通委員会 新島―式根島間連絡船の座礁事故で 離島航路の支援拡大を求める
<赤旗記事>

2025年4月29日(火)

離島航路の支援拡大を
連絡船の座礁事故で
参院国交委 大門議員

(写真)質問する大門実紀史議員
=24日、参院国交委

 日本共産党の大門実紀史議員は24日、参院国土交通委員会で、離島を結ぶ連絡船への国の支援策の拡大を求めました。

 2023年2月4日、東京都の離島、新島―式根島間を1日3往復する新島村営定期船「にしき」が座礁事故を起こし、修理のため長期間使えなくなり、通院や通学にも影響が出たため、住民からは「代船として、国の支援で民間船をチャーターしてほしい」との声が上がりました。

 しかし、国交省は「唯一かつ赤字の航路であること」とする補助要件に固執し、「にしき」は「唯一」に該当しないとして支援してきませんでした。

 大門氏は「離島航路は、住民のみなさんにとって命をつなぐ船だ。離島振興の点からも国の支援を拡大すべきだ」と要求。中野洋昌国交相は「キャッシュレス決済の導入など、経営改善の取り組みに支援している。離島の住民の足の確保のため、必要な予算の確保に努めてまいりたい」などの的外れな答弁に終始しました。

 大門氏は「今度の事例は、村営の定期船が座礁するという事故だ。こういう場合は、柔軟に対応していただきたい」と、改めて国の支援を求めました。

<議事録>

○大門実紀史君 大門です。
 今回の改正は船員の深刻な人手不足解消が一番の眼目ですけれども、資料の一枚目に、船員の職業紹介事業を解禁すると、地方自治体においてですね、が出ておりまして、具体的に言いますと、求人票を示して、求職者がそれを見て応募するという形になるかと思います。
 ただ、普通の陸上の会社、通常の会社と違って、通常の会社ですと、求人情報、求職票に書かれた労働条件と実際の労働条件が大きく乖離するというのは余りないんですけど、この船の船員さんの場合は、この求人票には大枠の、大枠の労働条件書かれて、実際には、乗船する、乗る船ごとに、雇入契約書というんですかね、結ぶという形になりますので、求人票で事業主が示した労働条件と実際に乗る船の雇入契約の内容が異なってくる場合も考えられるということですね。それで、法案としても第百条とかで手当てがされるんだと思いますけれど、大きくそれが乖離しますと、せっかく船員になろうと思って応募した人の心も生活も砕くことになりかねないわけであります。
 そういう点で、その求人票における虚偽の記載、釣り広告とか、あるいは誤解を生じさせるような表示、あってはならないと思いますが、これはどうやって防ぐ仕組みになっているのか、御説明をお願いします。

○政府参考人(宮武宜史君) 昨年、国土交通省におきまして、船員や海運事業者などを対象として求人情報サイトなどにおける船員の募集情報についてアンケート調査を行いましたところ、虚偽の労働条件、これは休暇期間でありますが、あるいは給与水準について誤解を生じさせる表示が求人情報サイトに掲載されていた事例、あるいは最新でない求人が修正されないまま掲載され続けていた事例、いわゆる釣り求人といいますか、などが存在することが明らかになりました。
 このような事例のうち、例えば給与水準について、実際の雇入契約において提示することを予定していないような高額な条件を提示していたような場合とか、募集する企業が親会社か関係会社又はグループ会社からかどうかが混同されるように表示していた場合などは、それぞれやはり虚偽の表示、あるいは誤解させる、生じさせる表示に該当するものと考えております。
 これらにつきましては、求人票を私ども地方運輸局の方で受け付けて、それを基にあっせんしていきますので、その中で最終的にこれが虚偽かどうかというのを判断していくことになろうかと思います。

○大門実紀史君 第百条ですかね、そういう虚偽の広告、労働条件の虚偽の表示があった場合は、求職者の方からも大臣に対して申告をできると、大臣は是正のための指導監督ができると、従わない事業者には罰則規定もあるというふうに厳しくされておりますので、こういうことは余りないようにしたいわけですけれども、そういうことがあれば柔軟にというかスムーズに対応していただいて風通しよくして、できるだけ船員になりたい人たちがやりがいのある環境にしていただきたいなと思います。
 二つ目に、資料の二枚目でございますけれど、先ほど里見先生からもありました、私もやっぱり今日のこの時点で取り上げておかなきゃいけないと思っております。
 昨日が知床遊覧船、KAZUTの沈没事故から三年目でございまして、乗員乗客合わせて二十六名、子供が二人含む全員が死亡、行方不明となった痛ましい事故でございます。
 私は学生時代から知床好きで、この遊覧船には大小含めて、小さいのも含めてもう五回乗っていますので、この事故聞いたときは非常にショッキングな受け止めをしたものでございます。
 先ほども里見先生から質問ありましたが、ちょっと事務方で結構ですので、この事故の原因をどう捉えておられて、具体的にどういう対策を今進めておられるか、ちょっと簡潔にお願いしたいと思いますが、説明をお願いします。

○政府参考人(宮武宜史君) 知床遊覧船事故を踏まえまして、令和五年九月に運輸安全委員会において取りまとめられました調査報告書がございます。この中で、今回の事故は、船体構造、発航及び運航継続の判断、安全管理規程の遵守、監査、検査の実効性などの問題が重なった結果発生したとされております。
 私ども国土交通省といたしましては、こういった事故が二度と起こることがないよう、旅客船の安全・安心対策に取り組んでおるところでございます。
 具体的には、改正海上運送法に基づきまして、船員の資質向上や監査の強化などの対策を行うとともに、本年四月より、改良型救命いかだ等の旅客船への搭載義務化、安全統括管理者、運航管理者に対する試験制度の創設などを行ってまいりました。この結果、知床遊覧船事故対策検討委員会で取りまとめられました六十六の項目のうち、大部分が実施中又は実施済みとなっております。昨年のJR九州高速船の違反事案は、この対策の一環であります抜き打ち監査を通じて確認されたものであります。
 船舶の安全運航は、運航事業者にとりまして最も基本的かつ最も重要な使命だと考えております。今後とも、旅客船の安全確保に向けて万全を期してまいります。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 抜き打ち検査等など対策強化されているということで、本当に強化してほしいと思います。
 ただ、大事なのは、運輸安全委員会の事故調査報告書の百五十三ページ、百五十四ページ辺りに載っておりますけれど、当時の原因の一つとして、北海道運輸局は、抜き打ち確認などの際、表面的な評価しか行っていなかったものと考えられると、監査の実効性に問題があったものと考えられるということで、運輸安全委員会は大変厳しい指摘をしているわけでございます。
 ですから、対策をいろいろ、メニュー強化していただくのは結構なんですけど、やらなきゃいけないんですが、結局、メニューいっぱい並べるといいますか、対策は取るんですけど、一番大事なのは絶対事故を起こさないというような安全モラルといいますか、そのことがないと、形だけやってもまた同じようなことが起きかねないという点がありますので、その点、是非留意して取り組んでいただきたいというふうに思います。対策強化されているのは承知しております。
 もう一つ、最後に、三枚目の資料でございますが、船の関係で、離島航路の問題を取り上げさせていただきます。
 二〇二三年の二月四日に、東京都ですけど、新島と式根島が一日三往復で結んでいる、新島村村営の定期連絡船「にしき」というのが座礁事故を起こしました。数か月間船が使えなくなったと、新島と式根島の村営の定期船が使えなくなったわけでございます。このときに、民間の船をチャーターしてほしい、チャーターする支援をしてほしいと住民の方々から声が上がりまして、当時、我が党の国会議員団も国交省に要請をしたりしたところであります。
 ただ、今どうなっているかというと、資料の三枚目にございますように、国の離島航路の支援策というのが頭に書いてあります。全て、唯一かつ赤字の航路と、その唯一の船で赤字というふうなことが、条件が付いているわけなんですね。実は、式根島には定期連絡船「にしき」以外にも一応週に数回来る民間の船があったので、この唯一ということに該当しなくて支援の対象にならなかったわけですね。このことによって住民の方々は通学にも通院にも困るということを強いられたわけであります。
 離島航路というのは、本当に住民の皆さんにとってはかけがえのない、命をつなぐ船なわけでありまして、この離島振興という点からも、唯一かつ赤字というふうなこの要件は、ケース・バイ・ケースもありますけど、これのために大変な困難を迫るという場合もあるわけでありますので、この要件を緩和することをケース・バイ・ケース見て検討してほしいと思いますが、これはちょっと大きな方向なので、大臣から答弁をお願いしたいと思います。

○国務大臣(中野洋昌君) 離島航路事業者に対する運営費の補助につきましては、地域公共交通確保維持改善事業のメニューということで、これはナショナルミニマムを確保する観点ということから、委員の御指摘のように、唯一かつ赤字の航路を対象に支援を実施をしているということでございます。
 他方で、このような運営費補助の要件を満たさない離島航路におきましても、例えばキャッシュレス決済の導入でありますとか、あるいは環境性能に優れたエンジンに換装をするといった、DX、GXの推進によって経営改善をしていくと、こういう取組についても支援をさせていただいているところではございます。
 いずれにしても、国土交通省としては、離島の住民の足の確保のために必要な予算の確保ということは努めてまいりたいというふうに考えております。

○大門実紀史君 今申し上げた例は、定期船が、村営の定期船が座礁するというふうな事故の事例なんで、こういう場合のときはちょっと柔軟に対応できるように考えていただきたいというふうに思います。
 以上申し上げて、今日は質問を終わります。ありがとうございました。

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