国会質問

● ● ● ●  大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2025年4月17日 参議院 財政金融委員会 アベノミクス問題について
<赤旗記事>

2025年4月28日(月)

国債 大量発行に警鐘
大門氏 「金融機関と対話を」
参院財金委

(写真)質問する大門実紀史議員
=17日、参院財金委

 日本共産党の大門実紀史議員は17日の参院財政金融委員会で、アベノミクス以降、国債を大量に買い入れる「異次元の金融緩和」政策からの正常化に向けて留意すべき点を植田和男日本銀行総裁にただしました。

 大門氏は、黒田東彦前総裁時代に一気に「異次元の金融緩和」を強行し、「株価は上昇したが、国内経済は10年以上よくならなかった」と指摘。金融政策の正常化に向けた留意点として、▽金利の急上昇を起こさない▽国債を減額していくうえで国内の金融機関との協力、対話▽海外投機筋の規制―の3点を指摘。植田総裁は「経済物価調整を丁寧に確認し、適切な政策判断につなげていく」と答えました。

 大門氏は、財務省の国債発行チームを取材したNHK番組での同省理財局が海外ファンドに国債を買ってほしいとセールスに回っている場面について「非常に驚いた。大変リスキーなことをやっている」と指摘。「海外セールスに励むのではなく、まず国内の金融機関と対話し協力関係をつくることに努力すべきだ」と主張しました。

 大門氏は、植田総裁が東大教授時代に書いた研究リポートの「日本の今後を考えるに当たって幸運をあてにするのは危険である」との一文を挙げ、「私は財務省のように緊縮すべきだとは考えていないが、一方で国債をこのままずっと発行しても大丈夫だと思うのも危険だ」と指摘。「植田総裁の言葉が、今まさに私たち国会議員に突きつけられている」と述べました。

<議事録>

○大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。
 植田総裁に質問させていただくのは初めてでございます。よろしくお願いいたします。
 私が国会に来て、この財政金融委員会に所属して、最初に質問したのは速水総裁でございました。速水さん、福井総裁、白川総裁、ずっと当時から、与党の皆さんあるいは野党の一部の皆さんが、とにかくもっともっと金融緩和やれと、量的緩和やれと、インフレターゲットやれという物すごい圧力が日銀に掛かって、日銀はぎりぎり抵抗しながらじわじわと押されているような状況が続いて、私は一貫して圧力に屈すべきじゃないということで日銀の応援の質問をずっとやっていたわけでございます。
 そもそも、今も通じる話なんですけれども、デフレというのは金融政策の結果ではないと。賃金と物価が下落する賃金デフレが原因であるので、日銀がもうゼロの状況をやっていらっしゃいましたかね、それ以上何かという問題ではないということもあって、日銀擁護の質問をしてきたわけであります。
 ところが、二〇一三年、安倍首相、安倍政権になって、黒田さんを総裁に据えて一気に異次元の金融緩和ということになったわけで、安倍さんの言葉によれば、日銀を子会社のように使って大量に国債を購入させるというふうな量的緩和が行われたわけでございます。
 私は、これが始まったときに、一旦こういう制限なく国債を買い入れるとやめられなくなりますよと、やめることが大変難しくなりますよという指摘もしていたわけですけれども、とにかくバイ・マイ・アベノミクスということで、どかんとやって、株価はもちろん上昇して、円安で輸出の大企業は大変潤ったわけでありますが、国内経済は結局十年以上やって良くならなかったということでございます。
 後半の方になれば、黒田総裁に早く出口に向かうべきだということと、その上で、正常化に踏み出す上で留意点ということも御提案してきたわけです。一つは金利の急上昇を起こさない、これは国民生活大変なことになりますので。二つ目には、国債を日銀が減額していく上で国内の金融機関の協力が不可欠だということで、対話を含めてですね、そういうことを念頭に置かれるべきだということと、三つ目に、海外の投機筋の規制、いわゆるマーケットアタックというのは大体海外勢がやってきたわけですよね、日銀に対しても、今までもですね。そういう点を考えて正常化に踏み出すべきだということを黒田総裁には言ってきたわけです。黒田さんは、その出口が近づいたら、そういうときになれば考えますよみたいなことをおっしゃっておりました。
 その後、私が少しちょっと浪人をしている間に総裁が替わりまして、黒田さんから植田総裁に替わったわけで、そうしたら、マイナス金利政策やYCCなどから脱却して正常化に踏み出されたということで、私は大変歓迎といいますか、評価をさせてもらっているところでございます。
 初めての質問ということもあるので、総裁になられて二年ですかね、これから次の段階というときにこういう、トランプ関税問題とか先行きがまた不透明になるとか、あるいはまた政治からの圧力もまた強まるかもしれないし、もう強まっているかも分かりませんけれども、もちろん経済動向というのは無視できないんですけど、やっぱり正常化に向かうスタンスだけきちっと堅持して頑張っていただきたいなというふうに思います。  何か一言ございましたら。

○参考人(植田和男君) 私ども、経済・物価情勢が徐々に改善することに対応しまして、ここ二年ほど金融緩和の度合いを調整してきたところでございます。
 今後につきましても、基調的な物価上昇率が二%に向けて高まっていくという見通しが実現していくということであれば、それに応じて政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していきたいと思いますし、そうすることが、先に行って思わぬ形で急激に金利を上げないといけない、大幅に上げないといけないというようなことを避け、息の長い成長につなげるためにも必要だというふうに言っております。
 ただし、足下、先ほど来議論がありましたように、米国の関税政策等を受けまして不確実性が高まっているということは十分に念頭に置いた上で、経済・物価情勢を丁寧に確認し、適切な政策判断につなげてまいりたいと思っております。

○大門実紀史君 頑張っていただきたいと思います。
 お手元に資料をお配りいたしましたけど、四月の十三日にNHKスペシャル、「未完のバトン」というんですかね、国債発行チームというのが放映されまして、まあ長い番組なんですが、ストーリーは非常に簡単でございまして、いかに日本の財政が大変かと、これ以上の国債発行は抑制すべきだと、国債の信認を維持すべきだと、そのためには財政規律を取り戻せと。で、歳出削減もやむなし、社会保障について言及されているということで、何か財務省の意向をそのまま反映した大変よくできたやらせ番組じゃないかというふうに見て思っていました。
 何だか国債の信認というよりもNHKの信認を落としたんじゃないかというぐらい、ちょっとNHKスペシャルにしてはと思うような番組でございましたが、ただ、中身は大変興味深いエピソードがたくさん盛り込まれておりました。植田総裁が東大の教授時代に大蔵省に委託を受けて、研究レポートも紹介されておりましたし、番組の中で、日銀が国債の買入れの減額方針を示していると、その分どうするかということに対して、ある国内の金融機関は、日銀が金利を上げていくと国債の価格は下がるので余りこれ以上は引き受けられないとか、あるいは、理財局の、優秀な方だというふうに思いましたけど、課長補佐の方が海外のヘッジファンドに国債を買ってほしいというセールスに回る姿とか、ちょっとふだん見られない情景がありました。
 私、一番驚いたのは、財務省の理財局が海外のファンドに日本国債を買ってほしいとセールスして回る姿というのは非常にちょっと驚いたんですよね。先ほど申し上げたように、国内の金融機関と違って、海外のファンドというのは、結局、日本国のことなんかどうでもいいんですよね。もうかれば何だって買うわけですよね。いざとなれば一気に売り抜けるわけですよね。空売りだってやるわけですよね。
 そういう人たち向けに日本国債をセールスしている姿、ちょっと私、驚いたんですけれども、これ大変リスキーなことをやっていらっしゃるんじゃないでしょうか、財務省。

○政府参考人(窪田修君) 海外投資家については、御指摘のように国債保有比率の上昇をリスクとする議論もあることは承知しておりますけれども、海外投資家の中には国債の安定的な保有が見込まれる投資家の方も存在しております。また、海外投資家を含め多様なニーズを持つ投資家が国債を取引することにより、市場の状況が一方向に流れることを防いで市場を安定させる効果も期待できるところであります。
 私自身も今年、海外のIRに行ったことございますが、先方からいろいろ有益な情報を得たり、あるいは日本の経済財政状況を説明したりする機会にもなりますので、そういう意味での効果もあると考えております。
 いずれにいたしましても、政府としては、引き続き、金利の動向や投資家のニーズを見極めつつ、適切な国債管理政策に努めてまいりたいと考えております。

○大門実紀史君 そういう一般論じゃないですよね。ファンド、中東含めて、アメリカ含めてファンドを回っていらっしゃるんですよね。ちょっと異様だなと。
 本当に番組の中で、中東の投資ファンドに理財局の課長補佐さんが日本国債買ってほしいと言う、まさにその場面が映されているんですけど、その中東のファンドの担当者が、日本の債務残高は大きいと、日本国債大丈夫ですか、こう聞いているわけですね。それに対して理財局の課長補佐さん、何と言っているかというと、日本の国債は大部分国内で保有しているから安全ですと。変ですよね。国内で保有しているから安全だと言って海外に売ろうとしているわけですね。もう自己矛盾のような話になっているわけですよね。
 要するに、これもう一つ怖いなと、怖いなといいますか、自ら日本国債の信認を落としていらっしゃると思うのは、つまり、これ以上はもう国内の、さっき言いました、金融機関が引き受けられないだろうと。ということは、もう行き詰まりですよね、国内的には。だから海外にと。そうしたら、普通の、日本の金融機関もそうですけど、もう危ないなと、これ以上買っていくのは危ないなと。まずそれを広げているようなもので、理財局そのものがですね。ちょっと一般論のポートフォリオとかそういう問題ではないというふうに思う。で、いかがなものかと思うわけでございますが。
 私、やっぱり、海外セールスに励むどころかまず国内の金融機関ときちっと話をして、もっともっと協力関係をつくって、国内の金融機関に引き受けていただくということは一番リスクのないことで、そういうことに努力をされるべきではないかと思うんですよね。
 その点でいいますと、正常化に向けて御尽力いただきたいんですけど、そもそも、私ずっと見てきて、この日銀が異次元の金融緩和というのを政治の圧力でやらされたというか、政治主導でやらされたわけですよね。だったら、正常化についても政治の責任で、政治の責任で正常化を日銀と一緒に進めるべきだと。何かもう正常化は日銀任せで、お手並み拝見、自分たちは傍観者みたいな。与党ですよね、政府の責任、きちっと一緒にやるべきだと思う。その点でいえば、政府主導で国内の金融機関とちゃんと連携する形をつくるとかやって、そういう形で国債の日銀の減額、受皿つくっていくべきだと思うわけでございます。
 私は、番組の中で植田総裁が、当時、東大の先生だったわけですね。九六年三月に大蔵省の委託を受けて植田当時の東大教授が研究レポートを出されたんですね。それを紹介されておりまして、国債発行と利子率ということで、要するに、当時、大蔵省が、どこまで日本の財政が国債発行を支えられるのかというようなことを委託して研究してもらったわけですね。そのシミュレーションとかが紹介をされている映像が出ていました。
 その中の、私は、当時の植田教授、植田さんの言葉が番組で紹介されているんですけど、大変、なるほどなと思ったんですが、こういう言葉が紹介されておりました。日本の今後を考えるに当たって、幸運を当てにするのは危険であると。日本の今後を考えるに当たって、幸運を当てにするのは危険であると。
 私は、財務省のように、緊縮すべきだというふうな考えではありませんが、一方で、国債をこのままずっと発行しても大丈夫と思うのもまた危険だなと思っておりまして、三十年前のこの植田教授の、植田さんの言葉が今まさに私たち国会議員に突き付けられているんではないかということも思うわけでございますが、総裁、いかがですか、三十年前の御自分のお言葉。

○参考人(植田和男君) 大変難しい御質問でございますが、財政運営は、日銀総裁としての立場で申し上げれば、やはり政府、国会の判断において行われるものだと認識しております。
 具体的に私からコメントするのは差し控えさせていただきたいと思いますが、やはり、一般論になってしまいますが、政府が中長期的な財政健全化について市場の信認をしっかりと確保することは重要であると考えております。

○大門実紀史君 もっと言いたいこと言っていいですよ。もう政治の責任が大きいんですからね。
 頑張っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

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