<議事録>
○大門実紀史君 大門です。
本改正案は必要な改正でございますし、賛成でございますし、既にもう様々議論がありまして、もうお聞きすることも余りないんですけれども、一点だけ確認したいのは、今、浜口先生からありましたが、技術職員の問題なんですけど、港湾の技術職員がゼロの自治体が二十二ですかね、全国で、あるということが衆議院でも明らかになっております。
そういうところはどうやって具体的に港湾の維持管理しているのかということで衆議院で我が党の議員が伺ったときに、つぶさには把握していないと、多分、民間のコンサルなんかの力を借りているんじゃないかと推察しているという御答弁があったんですけど、今後の施策考える上でも、推測とか、だろうではなくて、やっぱり自治体の技術職員ゼロのところが今現在どうやっているのかとか、やっぱり把握を国交省としてもしていただきたいというふうに思います。
これは要望でありますけど、大臣から一言お願いいたします。
○国務大臣(中野洋昌君) 委員御指摘のとおり、全国百六十六の港湾管理者のうちの全体の約一割に当たる二十二管理者では技術職員が不在という状況でございます。
先日の衆議院の国土交通委員会での質疑を受けまして、改めて技術職員が不在となっている港湾管理者にヒアリングを行ったところでございます。港湾施設の日常点検等については事務職員が実施をし、工事が必要となった場合には、他部門の技術職員が対応したり、あるいは他部門の技術職員や民間のコンサルタントから助言をもらい事務職員が対応しているといった実態を把握したところでございます。
いずれにしましても、港湾管理者の技術職員が不足した状況を踏まえまして、今般、港湾管理者の要請に基づいて国が高度な技術等を要する工事を代行する制度等を創設をするということで、技術職員が不在の港湾管理者においても高度な技術を要する工事の必要が生じた場合に対応できるようにしてまいりますし、引き続き、港湾管理者の職員等も対象とした港湾施設の維持管理に関する研修の実施などにより、港湾管理者の職員の育成に取り組んでまいりたいと思います。
港湾の維持管理が適切に行われるように港湾管理者をしっかり支援してまいりたいと、このように考えております。
○大門実紀史君 よろしくお願いいたします。
残りの時間、国交省のマターではありますけど、ちょっと別の案件について取り上げさせていただきたいと思います。
お手元に資料を配りましたが、この間、住宅のリースバックに関するトラブルが増えて、急増しております。
資料の一枚目にその急増しているグラフがありますけれど、リースバックというのは、高齢者の方が住宅を売って現金を手に入れて、老後の生活費とかにするわけですね。売った後もそこに家賃を払えば住んでいいよというのがリースバック形式ですね。リバースモーゲージというのは、住んでいる住宅を担保にして金融機関からお金を借りると。それで生活費に充てていって、所有権は移らないわけですよね。で、お亡くなりになるとかいうときに借りたところに住宅が移るというふうなのがリバースモーゲージなんですが、このリースバックというのは様々なトラブルが起きておりまして、枠の中に書いてございますが、要するに売却額が、売ったのが安過ぎて、家賃が高過ぎると。で、売った額と家賃の支払額が、全体で計算すると、もう数年でマイナスになるというんですね。
このリースバック利用されるのは高齢者の方多いわけですから、不動産業者の方はメリットばかり説明するので契約しちゃうと。後から損したというような類のトラブルが急増しているということなんですね。
で、今日ちょっと取り上げたいのは、二枚目なんですけど、更に問題は、このリースバックを悪用した、もうほぼ詐欺じゃないかと、ここまで来ると犯罪じゃないかという事例で、被害者弁護団も立ち上がっているものです。
その弁護団から仕組みを図解にしてもらったものを資料にしてございますけれど、典型的な例なんですけど、これX社としておりますが、具体的に言いますと、六本木の一等地、有名なタワービルの十六階に堂々と構えている、国交大臣許可、宅地建物取引業者免許取っている、全日本不動産協会にも所属している、そういう企業ですが、この一年だけでその企業関係の相談が弁護団に六件も来ていると。潜在的な被害を考えますと、相当もっとあるんではないかと思います。
手口といいますか、やり方なんですけど、まず被害者女性、この方は都内の方ですが、あらかじめ何かリストを持っているんじゃないかと思うんですよね。高齢で女性、おばあちゃんが多いんですよね、で、独り暮らしと。認知症などの疑いがあるとかそういう方を、何かよく分かりませんが、もうリストが流れているんですね。恐らく不動産管理会社から個人情報が漏れているんだと思いますが、そういうのをターゲットを絞って、そこに入り込むときは管理会社の人間ですとかいろんなこと言って、とにかく上がり込んで、数時間にわたって座り込んで、契約までさせちゃうんですね。大体おばあちゃん、ちょっと半分認知症とかですので、よく分からないうちに契約させられると。
この例でいきますと、自宅は一千万円で売らされて、実は二千五百万円相当の相場だったんですけれども、一千万ぐらいで買い取られるわけですね。その会社は、六本木のその会社は、買ったと同時に賃貸契約をおばあちゃんと結ぶわけですね。毎月九万円の家賃払っていれば引き続き住んでいいですよと。よく分からないんですよね、御本人は、何が起きたか。ただ住んでいるだけなんですよね。その間に、その会社は転売するわけです。すぐ転売するわけですね。で、一千五百万ぐらいの利益を得るわけです、得るわけですね。そのおばあちゃんの、何が起こったかよく分からないで、ただ住んでいるだけなんですね。そうすると、家賃払わなきゃいけないという自覚もないわけなんですね。そうすると、家賃は滞納になって、転売先の会社から出ていってくれと、滞納で出ていってくれということで明渡し請求されて自宅を取られて、もう身ぐるみ剥がされるということが、実際にこれが起きているわけでございます。
こういう事例がこの弁護団の、この会社だけでも六件来ているということで、実は調べてみると、ネット上もこの会社は相当強引な勧誘をやっているというのがいろいろ出ております。大臣許可ということをうたっておりますので、国交省としても、資料はいつでもお渡ししますので、調べられたらどうかと思いますけど、今日申し上げたいのは、同時に、この六本木の会社だけではなく、同じノウハウで他県で、ほかの県でも被害が生まれております。
私、ジャパンライフなど悪徳商法をずっと取り上げさせてもらってきましたけれど、このリースバックを悪用した詐欺商法というのは金額が大きいんですよね。ジャパンライフなんかは一件何十万とか何百万ぐらいですね、相当取られてもですね。もちろん全財産つぎ込んだりもあるんですけど、これはいきなり一千万、二千万、三千万が奪われるという大変な問題で、これから恐らく、多分、今日、国会で取り上げるのは初めてだと思うんですけど、大問題になって表面化していくんではないかと思っておりますし、実はこれは、私の経験からいっても、国交省だけで何とかできるとか、消費者庁の消費者契約だけで何とかできるとか、あるいは警察庁が事前にいろいろできるとか、それぞれだけでは済まない、相当全体で取り組まなきゃいけない大きな問題で、特に高齢者をターゲットにしているということでは被害がどんどんどんどん今現在も広がっているんじゃないかと思います。
そういう点でいえば、国交省としてすぐ何とかということじゃないんですけど、特にこのリースバックという形が悪用されておりますので、国交省としても、ちょっとこういう問題について注意をいただいて、ちょっと何ができるのか分かりませんけど、まずちょっと注意をいただきたいと。今日初めての問題提起だと思うんですけど、いかがでしょうか。
○政府参考人(楠田幹人君) お答えを申し上げます。
御指摘のリースバックについてでございますが、高齢者世帯を中心に、住み替えでありますとか老後の一時的な資金の確保などを目的といたしまして、一定程度活用されているというふうに認識をしております。
一方で、御指摘のとおり、リースバックを活用した不動産取引に対する認知度、まだ高くないということもございますし、持家の売買契約と賃貸借契約を組み合わせるという特殊な契約であるといったこともございます。消費者が内容を十分に理解しないまま契約をしてトラブルとなるケースなどが見られるというふうに考えておりまして、国民生活センターに寄せられております相談件数も増加傾向にあるというふうに承知をしております。
このため、健全なリースバックというものが普及をいたしますように、リースバックの適切な利用方法でありますとか検討時の留意点などをまとめたガイドブックを令和四年に作成をいたしております。その周知に努めているところでございます。
引き続き、国民生活センターを始め関係機関と緊密に連携をいたしまして、状況もしっかりと注視をしながら、適切な対応を取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○大門実紀史君 このリースバックそのものが何かちょっといろいろ危ないなと思うんですけれど、リースバックというのは、やっぱり資金需要、何かに困って現金が要るという方が活用されることですよね、普通はね。まあ高齢者以外もあるかも分かりませんね。したがって、資金需要もないのにこうやって入り込んでいって売らせて、押し買いというんですよね、押売じゃなくて、押しかけて売らせるんですね。押し買いという、これは本当に悪質な場合なんですけど、ただ、リースバックそのものにもいろいろまだちょっと注意しなきゃいけない点、仕組みもあると思うので、その点も含めて検討していっていただきたいと思います。
あともう一つ、この問題、特に、具体的に言うとこの六本木の会社、こういう人たちはノウハウを引き継ぐんですよね。ここの社員で働いているとしますよね。こういうノウハウを持って、別の会社を自分で立ち上げて、また同じことやるわけですね、こういう人たちというのはね。
そういう点でいきますと、まず、この非常に問題になっている、弁護団も取り上げているような会社について、御答弁は結構ですので、やっぱり注意してもらって、これ調べていくと、実はもう一つ被害の相談がある会社が元その会社の人間だったりするわけですよね。大体この悪徳商法はみんなそうなんですけど、そういう点もありますので、答弁求めませんけれど、何といいますか、国交大臣認可の業者がやっているということもありますので、引き続き注意をしていっていただきたいと、今日はここだけ申し上げて終わりたいと思います。
ありがとうございました。