国会質問

● ● ● ●  大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2025年4月4日 参議院 消費者問題特別委員会 特商法特定商取引法等の改正で悪質業者の根絶を

<議事録>

○大門実紀史君大門でございます。
 今日は、特定商取引法においてどう悪質業者を排除するか、根絶するかという点を質問いたします。
 資料をお配りしておりますけれども、特商法関係の被害金額ではもう大変大規模な事件がジャパンライフであったんですけれども、そのノウハウや人脈引き継いでいるのがWILLという悪質業者ですね。WILL事件です。ジャパンライフというのは、桜を見る会というのがありましたので、安倍総理が、元総理が招待状を送ったということでジャパンライフ有名になりましたけれど、実は被害金額でいえば二千億程度、そして今日のこのお手元にあるWILLも二千億規模ですので、相当大きな悪質事件だということでございます。
 お手元に新聞記事を、日本消費経済新聞の記事をコピーしてありますけれど、その中にございますが、広島県警、宮城県警、岡山県警の合同捜査本部が、今年の二月十二日、WILLの元社員ら幹部四人を逮捕いたしました。
 まず、警察庁、事件の概要を説明お願いします。

○政府参考人(大濱健志君) お答えいたします。
 委員お尋ねの事件につきましては、令和七年二月十二日、広島県警察、宮城県警察、岡山県警察合同捜査本部が、カード型USBを購入すれば、第三者にレンタルしてレンタル料収入を得た上、同収入から購入代金を上回る配当を支払う旨のうそを言い、現金約一億五千万円をだまし取ったとして、被疑者四名を詐欺罪で通常逮捕したものでございます。

○大門実紀史君 これはその被害の一つでございまして、これを端緒にいろいろ全貌の解明が進んでいくと思いますけれども、WILLというのは、あのジャパンライフから人脈とかノウハウを引き継いで、同じく高齢者の皆さんをターゲットにして荒稼ぎをしてきた悪質詐欺集団ですよね。さらに、名前もいろいろ看板替えて、VISIONだのいろいろ替えて、ずっと悪徳商法を続けてきたわけでございます。
 お手元の、ちょっと細かいんですけど、要するに、二〇二三年一月にはその関係者が特定商取引法違反、業務停止命令違反で逮捕されております。そして、一昨年はそうだったんですが、今回は詐欺罪で逮捕ということでございます。
 一般的な説明で結構なんですけれども、詐欺罪というのはどういう構成要件でしょうか。

○政府参考人(大濱健志君) お答えいたします。
 刑法第二百四十六条第一項は、人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処すると規定しているものと承知しております。

○大門実紀史君 今ちょっとさらっと言うのは、四つの構成要件があるということなんですけど、人を欺くということですね。その行為によって被害者がだまされると、行為によってだまされるということですよね。財産を取られるということ。で、この三つの因果関係があると初めて詐欺罪ということになるわけですね。私、こういうジャパンライフからずうっと取り上げてきていますけど、もう最初から全て詐欺罪じゃないかというふうなものでございます。
 四月に広島地裁は、この被告たちに懲役一年二か月、執行猶予三年などの大変軽い刑を言い渡したわけでございます。といいますのも、特商法の、これ特商法で逮捕された人たちの話ですけど、業務停止命令違反で逮捕された人たちが四月に懲役一年二か月、執行猶予三年という大変軽い刑を言い渡されたわけでございます。特商法の業務停止命令違反は懲役三年以下又は罰金三百万以下で大変軽いもので、しかも執行猶予は付いてしまうわけなんですね。
 そういうことがあったので、今回はですね、今回は詐欺罪で逮捕されたんだというふうに思います。詐欺罪は十年以下の懲役で、重い刑罰ですね。恐らく、一昨年、特商法違反で逮捕した場合は今言ったように軽い刑になったと。で、恐らく、広島県警、宮城県警、岡山県警の合同捜査本部は、ここまでお年寄りを食い物にしている悪質集団、そんな軽い執行猶予なんかで済ますわけにいかないということで、今回詐欺罪で逮捕に踏み切ったんだというふうに思います。警察の大変な意気込みを感じるわけでございます。
 消費者庁にお聞きしたいんですけれども、特商法では、主務大臣、資料の三枚目にこうずらっと経過がありますけれど、特商法では、主務大臣による業務停止命令違反を出しても、さっき言ったように三年以下の懲役、罰金三百万以下で軽いし、実際には懲役一年ぐらいで執行猶予が付いてしまうということあるわけですけれども、大体、三百万円といったらこういう悪徳業者の一人が一日で稼ぐ金額で、痛くもかゆくもない金額なんですね。そういう業者に対して、この一覧にあるように、消費者庁は消費者担当大臣として業務停止命令、業務禁止命令をずうっと出されてきたわけですね。
 これはちょっと通告はしていないんですけれど、大臣の名前で出されてきたこの命令がずうっと無視されているということについて、例えば伊東大臣が、もうこれだけ被害が起きているのはおかしいという判断で業務停止命令、禁止命令を出されるわけですよね。伊東大臣の名前で出されるわけですよね。それを、もう何といいますかね、ばかにしてというか無視してどんどんどんどん営業を続けて、こんなもの軽いんだと、執行猶予付くんだという前提でやるわけですよね。で、警察に捕まっても執行猶予だというようなことで、全部最初から分かってやっているわけですよね。
 これ、大臣のお名前で命令出しておいて、これだけ無視するような実態があるということについて、何といいますかね、最初からなめて掛かっているわけですよね。これについて、特商法の罰則というのは軽過ぎるということも含めて、率直な、大臣のお名前で出しているわけだから、大臣としてどう思われるか、ちょっと御感想を聞きたいと思います。

○国務大臣(伊東良孝君) 先生お怒りの点、よく分かります。私も昔、もう相当前でありますけれども、同じようないわゆる連鎖投資法のあれに引っかかって大変な被害を受けた知人がおりまして、非常にこの種の犯人に対しては憤りを感じているところであります。
 担当大臣としてお答えしますと、深刻な消費者被害をもたらすような悪質な商法への対応につきましては、大変重要な課題であるというふうに私も認識しておるとおりであります。これまで消費者問題に長く取り組まれ、被害に向き合ってこられた弁護士の先生や、あるいは消費者団体の方々のお声もしっかり丁寧に伺い、消費者被害の防止に全力を尽くしてまいりたいと思います。
 また、私の名前で、大臣名で勝手な話されるのも嫌だなと思うところでもありますし、もう少し厳しい罰則等々が必要でないのかなという気はいたします。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 この三枚目の資料をずらっと見たら、これだけ、すごいですね、こんなに業務停止命令、禁止命令出されているわけです。それでもずうっと無視して営業続けているわけですよね。やめないわけです、要するに、消費者庁が幾ら命令しても。平気でずうっと続けているわけですね。
 今言っていただいたように、やっぱり罰則が軽いんではないかというのがあります。もう軽過ぎて、彼らは元々確信犯ですから、もう恥も外聞もなく、稼いで潰してお金取って逃げるだけですから、何にもためらいがないわけですね。そういう連中でございますので、業務停止命令がこんなふうに無視されているという実態でございます。
 じゃ、どうするかということなんですけれども、資料の二枚目に、この問題取り組んでこられた被害者弁護団の方の、三段目の最後の方に見解というか書かれております。もうこういう状態ですので、このままの法の仕組みでは取り締まれないと、法改正が必要ではないかということで、長崎が被害者すごいんですけど、長崎の被害者弁護団の事務局長の今井弁護士は、こういう破綻必至商法、最初から破綻させることを考えて、稼いで潰すこと考えているわけですね、に対する抜本的な対策が急がれるということをおっしゃっていますし、熊本の弁護団長の原弁護士は、これ以上被害拡大しないように抜本的な法整備が必要な段階に来ているんではないかとおっしゃっております。
 現場で苦労されている弁護士さんたちは、法整備してくれということが出されておりますが、この点について、消費者庁、こういう問題に対処できるような法改正というのはお考えになっているんでしょうか。

○政府参考人(藤本武士君) お答えいたします。
 法人の外形を変えて何度も加害者になるような事案は、個人に対するものも含めまして、特定商取引法に基づく業務停止命令により対処してきています。法律に違反する事実がある場合には、特定商取引法に基づき行政処分を行うとともに、併せて消費者への注意喚起も行うことで消費者被害の防止に努めてきているところであります。十分にこれで食い止め切れていないという御指摘もありますけれども、こうした努力は引き続き我々としては大事だと思っています。厳格に執行は続けていきたい、注意喚起も続けていきたいと思っております。
 一方で、悪質な事業者というのは、どう悪質な事業者による消費者被害を防止するかというのは、我々にとっても大きな課題になっております。消費者法制度のパラダイムシフトに向けた検討におきましても、法令を遵守しない悪質な事業者に対しては、行政規制だけではなく刑事規制も視野に入れた対応が必要であるという指摘も踏まえて進めているところでありまして、事業者の悪質性や行為の特性に応じたグラデーションを付けた規律が重要であると考えております。
 こうした点も踏まえまして、深刻な消費者被害をもたらす悪質な商法の早期防止、未然防止に向けては、既存の法制度の運用状況も踏まえつつ、実効性のある手法等に関して真摯に調査研究を進めてまいりたいと考えております。

○大門実紀史君 ちょっとよく分からないんですけど。
 例えば日弁連とかいろんな、国会でも質問があったし、いろんな研究者の方も既に具体的に幾つか提案されているんですよね。どうもずっと否定的なことばっかりおっしゃっているんですけど、例えば日弁連は、大体そういう業者というのは、さっき言ったように、ジャパンライフでやってきた社員がまた違う会社つくってやるというんですかね、ノウハウとか人脈とかずうっと受け継がれているケースが多いんですよね。そうすると、分かるわけですよね、専門家。これ、前ジャパンライフやった人間だとかですね。
 したがって、そういう事業者を登録制にする、事前審査をして登録する、登録制にすると。事前審査の段階で、大体ずうっとやっているのは、ジャパンライフなんか戦後から、戦後からずっとやっていたわけですから、分かるわけですよね。だから、排除できると。で、登録制にするというようなことを日弁連が提案されておりますが、例えばそういうことは具体的に検討されているんですか。

○政府参考人(藤本武士君) お答えいたします。
 委員御指摘の登録制の導入につきましては、登録に伴って国が特定の連鎖販売業者に事実上のお墨付きを与える逆効果も検討しないといけないと思っています。多角的に勘案すべき問題であるというふうに考えています。
 これまでに消費者庁としましては、いわゆるマルチ商法につきまして、法令に違反する事業者に対しては厳正に処分を行ってきたところでありまして、引き続き厳正な執行は重要だと思っています。一方で、大臣からも申しましたとおり、これまでに消費者問題に長く取り組まれてこられた、被害者に向き合ってこられた弁護士の方々の御意見は重要だと思います。
 消費者庁としましては、引き続き厳正に処分を行っていく一方、規制は不断の見直しを行うべきものであるということで、悪質商法や消費者被害の状況を注視しつつ、適切に対応してまいりたいと考えています。

○大門実紀史君 結局検討しないで、いろんな、日弁連とかいろんなところが提案したことに、はっきり言っていちゃもん付けているんですよ、ああでもないこうでもない、できないできないと。この間そうですよね。
 今おっしゃった、登録制でおかしなことおっしゃいましたね、登録制にすると、何ですか、お墨付きを与える。そんなことないですよ、事前審査して排除するんだから。排除するんだから。その上で、新参の人が登録したら、それは登録してやり始めたら、それはそれで処分すればいいだけで、何をお墨付きなんか与えること、逆じゃないですか、お墨付き与えないためにやっているんですね。
 何かそういうことやるとコストが掛かるって話もあるみたいですけど、いろんな業界で事業者を登録制にしている業界幾つもありますよね。コスト、確かにちょっと掛かるでしょう。しかし、そういうことやることによってその業界の信頼性が高まるわけですよ。かえってプラスになるわけですね。
 そのコストが掛かるとかお墨付きを与えるというのは、誰が考えたか知らないけど、やらないための理屈ではないかというふうに指摘しておきたいと思いますし、私は、もっといろんなことを提案されているんですよね、いろんな方がですね。もう解散させろという意見もあるわけですね。いずれにせよ、そういういろんな方の意見を今ちょっといろいろ聞くといいですよ。だって、聞いていないですよ。ことごとくできないできないと言っているんですよ、いろんなこと。だから今日言っているんですけど。特に事前審査をして登録制というのは有効な手段なんで、藤本さんね、本当にちょっと改めてきちっと検証してほしいなというように思います。
 何か私、この間、この議論でジャパンライフのときと同じ議論が繰り返されているなと思うんですよ。二〇一八年にジャパンライフは破産させましたよね。それまで同じように、幾ら処分打ってもやり続けるわけですね。最後までやり続けて、お金をどこかへ隠して、破産させるわけですね。そのときにも、同じように行政処分を幾らやっても止められなかったじゃないかということで、根本的な法改正が必要じゃないかということを繰り返し繰り返しこの委員会で言ったときに、当時の担当課長が必要ありませんと、今、藤本さんおっしゃったように厳正な処分やって周知徹底ってやればいいんだと、法改正は必要がないということを担当課長が一生懸命言って、審議官、そういう答弁をしたんですね。次長もそんな答弁したんですね。
 もう繰り返し、そうじゃないと、法改正必要だということをやったんですけど、ただ、そのときは衛藤晟一さんという優れた消費者担当大臣がおられたんですよ。で、私が繰り返し言っているときに、衛藤さんは、最初、私の質問に答弁書読むだけだったんですよ。ところが、だんだんだんだん自分でもおかしいと思われて、調べられて、それでとうとう衛藤さんは、私は預託法の改正必要だと言ったんですけど、衛藤晟一さんの、当時の大臣の指示で、指示で、預託法改正をやれという指示を事務方にされたんですね。で、事務方はころっと変わって預託法の改正に入って、この資料にもありますとおり、二〇二二年ですね、実際に施行されるというところまで行ったわけですね。
 伊東大臣に申し上げたいのは、消費者庁全体で頑張っているんですよ、それはよく分かっているんですけど、特にこの特商法とか消費者契約とか、このビジネス界と向き合うときは非常に及び腰、消費者庁の立場に立ち切れないという例がいっぱいあるんですよね。で、法改正やりたくないと、やりたくないことはやれないということばっかりやるわけですね。
 ところが、その衛藤さんのときの政治判断のように、政治家が、政治家がおかしいと思ってやればやるんですよ。やるんですよ。したがって、この問題は、これ以上被害者増やさないために、私は、衛藤晟一さんのように伊東大臣が、もうそんな紙出さなくていいから、紙なんか、そういう話じゃないんだから、決断してもらう、よく調べて決断してもらう、そういうことが大事だと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(伊東良孝君) 大門先生のお話、よく分かるつもりであります。また、私どもの先輩でありますが、衛藤晟一先生の話も今お聞きしたところであります。
 ただ、ここは法務委員会でもなければ、裁判所でもなければ、調停の場所でもありませんので、この委員会が果たしてその詐欺的グループ、あるいはそのマルチ商法で走り回ってあくどく稼いでいる連中をここで糾弾して罰則を与え、罪に問うことができるかといったら、それはできないわけでありますから、その仕組みを、今お話ししたように仕組みを、そうできない仕組みを考える、これが大事だと思うんですけれども。
 ジャパンライフの例出しておりましたけれども、一人捕まっても、その兄弟みたいのから仲間みたいのが次から次と、名を替え品を替えで新しい組織つくって人をだまして歩いているという連中でありまして、簡単な話で改心するとか罪を償うなんていう連中ではないということをやっぱり我々も認識させられておるところでありますので、それらを踏まえてもう少し現実的な、この委員会で、じゃ、どこまでできるんだと、どこまで許されているんだということがちゃんとできるような議論を是非していただきたいというふうに思います。

○大門実紀史君 何をおっしゃっているんですか。ここ、裁判所じゃないですよ。もうどうしようもない連中相手にしている、それをどうする、法改正の担当は消費者庁ですから、それを言っているのに、そんな、関係ないです。何でここで裁判できるんですか。そんなこと言っていないじゃないですか。
 もうちょっと、そういうことだったら、先輩の衛藤さんに経験談をお聞きになって、きちっとした御自分の、御自分の大臣の仕事って何かというのを改めてお考えになったらどうかということを申し上げて、質問を終わります。

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