国会質問

● ● ● ●  大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2025年3月24日 参議院 国土交通委員会 高額修繕費払えない 公営住宅のあり方問う
<赤旗記事>

2025年3月26日(水)

高額修繕費払えない
公営住宅のあり方問う
参院国交委で大門氏

(写真)質問する大門実紀史議員
=24日、参院国交委

 日本共産党の大門実紀史議員は24日の参院国土交通委員会で、各地の公営住宅で、退去時に突然高額の修繕費が請求されている実態を示し、公営住宅のあり方について政府の姿勢をただしました。

 民法は、借家からの退去時や、通常の使用で生じる建物の損耗分や経年変化の修繕費は、借家人負担の範囲外としています。しかし国交省は「公営住宅は家賃が低廉だから借家人負担も否定されない」などと民法の規定の例外を認める事務連絡を2019年に出しています。

 大門氏は、愛知の県営住宅では25万円も、東京の都営住宅でも47万円も突然請求された事例があるとして、「公営住宅法は憲法に基づいて住宅困窮者に居住を保障する法律だが、民法以上に修繕費を請求できる根拠はない。消費者契約の面でも問題がある」と指摘しました。

 また、鹿児島市の市営住宅は募集案内で、退去時に通常使用の損耗分請求額の目安は30万〜40万円で、大半の入居者の敷金では不足すると説明しています。

 大門氏は「所得が低くて生活が苦しい人は、退去時に高額請求すると言われたら、公営住宅に入れない。公営住宅の原点が問われる」と指摘。中野洋昌国交相は「指摘のあった事例は調査する。原状回復費用の具体的範囲は各自治体の判断だ」などと、自治体任せの姿勢を示しました。

<議事録>

○大門実紀史君 大門です。
 住宅の高騰、東京の住宅高騰問題取り上げようと思ったんですけれど、ちょっとおかしいなと思う相談が入ってきましたので、今日はその問題を取り上げさせていただきます。市営住宅、県営住宅、都営住宅などの公営住宅を出るときの、退去するときの退去費用の問題でございます。
 退去するときに、公営住宅、何倍もの敷金を取られる、高額の退去費用を請求されて、払えないと、びっくりしたという相談が来ておりまして、私の事務所に相談来たのは、愛知の県営住宅で、退去のときに修繕費用を含めて約二十五万円請求されたと。で、払えないと。ちょっとほか、全国の事例調べてみたら、二十五万どころか三十万、四十万円もざらでございまして、中には七十五万円請求されて、県と裁判になった例もあるというようなことも分かってまいりました。
 大体、公営住宅、都営住宅とかで相談活動頑張っているのは、公明党の地方議員さんと共産党の地方議員、相談の取り合いやるぐらいみんなの相談を頑張っているんですね。実は私、近所にお住まいの公明党の区議さんがいらっしゃって、よく立ち話をするのでちょっと聞いてみたんですね、過去事例あったかと。都営住宅の例なんですけど、あるあるということで、四十七万円請求されて、ただ、もう払えないので、分割払を当局と相談をしたということも聞いたりして、相当起きている問題だということは改めて分かりました。
 そもそも公営住宅に住んでおられるのは所得の低い方ですよね。で、今、高齢の方多いですよね。もう年金といっても国民年金だけ、所得の低い高齢者の方が多いわけですね。そういう方が退去する場合というのは、施設に入る、あるいはお子さんに引き取られるような場合でありますから、そんなときに敷金、大体二か月ぐらい敷金は入れるらしいんですけど、その何倍も請求されるという事態が起きているわけでございます。
 この問題、事前に国交省にお聞きして、どういう対応をしているのかということで、資料をお配りいたしましたけれども、平成三十一年に事務連絡が出ております。
 ちょっともう時間の関係で要点を私の方で説明させてもらいますけれども、中段のところに書いてございまして、改正後の民法、平成二十九年ですね、改正されたんですが、その民法の改正では、借りた人が出るときに全て完全に元どおり原状回復する必要はないと、通常の使用と経年変化については賃借人が回復する義務は負わないということが民法改正でなったわけですね。通常の消耗というのは、例えば家具の跡がずっと付いてしまったとかですね。経年変化というのは、日照の関係で畳の色が変わった、壁の色が変わった、こういうものでございまして、こういうものはもう出るときに負担しなくていいということが民法改正で決まったんですよね。
 ただしということで、次のところに書いていますが、本規定は任意規定だと、公営住宅は毎月の家賃が安いんだと、だから、この民法の規定とは異なる特約を結んでも、まあ余り積極的に肯定していませんが、必ずしも否定されるものではありませんというのが国交省ですね。必ずしも否定されるものではないと。もう一つは、民法ではこういうことが決まったので、特別にそういうことを退去のときにいただく場合は、具体的にちゃんと入居者に入るときに十分合意していただく必要があると、こういう通達を、事務連絡を出されているんですね。それからもう何年もたっておりますけれど、今起きたようなことが起きているわけでございます。
 繰り返しますけど、そもそも民法の第六百二十一条、民法の規定というのは、これ民間同士だけの話じゃないんですよね。相手が公でも、賃貸借契約全体の規定でございまして、自治体ももちろん基本的にこの民法の適用を受けるわけですが、先ほどありましたとおり、公営住宅は家賃が安いからという理由で経年変化の部分についても請求できると、請求することも否定しないというふうなことが国交省の考え方なんですね。
 ちょっとおかしいなと思いますのは、そもそも公営住宅法に書いていますけど、公営住宅というのは何だろうということなんですが、第一条にもちゃんと書いていますけど、この法律は、国及び地方公共自治体が協力して、健康で文化的な、つまり憲法ですね、憲法に基づいて、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対し低廉な家賃で賃貸しというふうに書かれて、それが目的で、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とすると書かれておるんですね。つまり、社会保障、居住保障なんですよね。にもかかわらず、家賃が安いから後でたっぷり請求していいよというこの論理構成は、全然私分かりません。
 基づくものは公営住宅法だと思いますので、聞きたいのは、公営住宅法のどこに、家賃が安いから退去のときは民法以上の、民法に定めた以上のものを請求していいと、その根拠が公営住宅法のどこに書かれているんでしょうか。

○政府参考人(楠田幹人君) お答えを申し上げます。
 公営住宅法におきましては、法令に基づきまして、低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸をするということとされております。
 御指摘のとおり、通常損耗等に係る修繕費等を賃料の中に含ませるということが難しいということで、民法の規定と異なる特約に基づいて請求を行う必要がある場合もあるというふうに承知をしております。
 また、公営住宅法の規定として、例えば故意による壁、床の損傷でありますとか、たばこによる焼け焦げの跡など、入居者の責めに帰すべき事由によって修繕をする必要があると、生じた場合には、当該修繕に係る費用を入居者負担とするということも可能であるということを規定しておるところでございます。

○大門実紀史君 要するに、公営住宅法のどこにもそんなこと書いていないですよね、書いていないですね。勝手に自己責任論といいますかね、本来、社会保障、居住保障なんですが、安く貸してやっているんだから後で払えみたいな、何か急に民間の論理が出てきて、社会保障とか居住保障を逸脱して、これもう公営住宅の考え方でないと私思います。せめて民間並みに敷金の範囲でいろいろ負担してもらうというなら分かるんですけれども、その何倍も請求していいという根拠がどこにもないんではないかと思うんですね。
 もう一つは、これ消費者契約法からいってもどうなのかなと思うんですよ。これも一つの事例聞いたんですけど、もう長年ずっと住んでいると、住んでいたと。入居したのは三十年ぐらい前だと。三十年前には、出るときにそれだけの費用を負担してもらうというのは一切聞いていないと。原状回復云々はあったけど、その経年変化まで、経年劣化までの分負担してもらうと、高額になりますよなんてことは一切聞いていないと。ところが、出るときになってそういう話になったと。
 これは、消費者契約法、私、消費者問題もやっていますけれど、入居のときにそういう契約とかはっきりと聞かされていないことを急に請求されるというのは、消費者契約法からいってもこれは問題があるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(楠田幹人君) 御指摘の事例、詳細把握していませんので、具体的な回答はなかなか申し上げにくいんですけれども、委員からもお話ございました公営住宅の原状回復義務については、民法の規定と異なる特約を行う場合について、その内容を具体的なものとするということ、それから、入居者又は入居予定者に対しましてあらかじめ説明をして十分に理解等を得ることが重要であるということを我々も考えてございまして、平成十三年の事務連絡にその旨を通知をさせていただいております。
 それに基づいて自治体の方で適切に御判断をいただくということが大変重要だというふうに考えておりまして、引き続き、いろんな機会を捉えまして、そちらの事務連絡の周知等、丁寧に説明をして周知徹底を図ってまいりたいと思ってございます。

○大門実紀史君 ですから、それはこの平成三十一年通達ですよね。その前に借りた方は聞いていない、何も聞いていないですよね。後から、そういう説明を受けていないで、最近出るときに高額の請求をされるということで、これは消費者契約法から問題だと思います。途中で、出られる前にそういう説明をちゃんとして合意を得ていれば別ですけどね、やっておりませんから、おかしいと思います。
 もう一つは、こういうことをやっていると、一体公営住宅って何だろうというのが、どうなっていくんだろうというのが二枚目の資料でございまして、これは鹿児島市の市営住宅募集案内書でございます。
 国交省のこの通達、事務連絡のとおり、入居の際に退去費を具体的に知らせて合意をもらいなさいとなっているので、もう正直にそのまま案内書に書いたんですね。退去時の修繕、清掃費用の負担について、事故、故意等による消耗のほか、通常使用による損耗、これは普通は民法では請求しないんですけどね、に関する修繕費用や清掃費用についても退去時に負担していただきますと。これまでの修繕、清掃費用の目安は三DKタイプで三十万円から四十万円、間取りや状況によっては異なりますとなっており、入居時に納める敷金を充当しても大半の方におきましては不足が発生していますという、正直なあれですね、案内書ですね。
 これを見た方が、これだけだと不安なので聞いてみたそうですね、どれぐらい掛かるかと。そしたら、不足分、更に幾ら掛かるかと聞いたら、大体五十万円から七十万円掛かる場合もありますよと言われたそうですね。大体、この市営住宅に入りたい人は、所得が低くて生活が苦しくて、困って入りたいと思うわけで、そんな人に入るときに、出るとき数十万円掛かりますよと言われたら入れないですよね、入れないですよね。これは何かもうおかしくなっていると思うんですよね、この公営住宅の在り方としてですね。
 これは大臣に伺いたいんですけど、この公営住宅ってこういうものなのかと、ちょっと原点に戻らないとおかしなことになっているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(楠田幹人君) 御指摘の事例、詳細把握していませんので、具体的な回答はなかなか申し上げにくいんですけれども、委員からもお話ございました公営住宅の原状回復義務については、民法の規定と異なる特約を行う場合について、その内容を具体的なものとするということ、それから、入居者又は入居予定者に対しましてあらかじめ説明をして十分に理解等を得ることが重要であるということを我々も考えてございまして、平成十三年の事務連絡にその旨を通知をさせていただいております。
 それに基づいて自治体の方で適切に御判断をいただくということが大変重要だというふうに考えておりまして、引き続き、いろんな機会を捉えまして、そちらの事務連絡の周知等、丁寧に説明をして周知徹底を図ってまいりたいと思ってございます。

○大門実紀史君 ですから、それはこの平成三十一年通達ですよね。その前に借りた方は聞いていない、何も聞いていないですよね。後から、そういう説明を受けていないで、最近出るときに高額の請求をされるということで、これは消費者契約法から問題だと思います。途中で、出られる前にそういう説明をちゃんとして合意を得ていれば別ですけどね、やっておりませんから、おかしいと思います。
 もう一つは、こういうことをやっていると、一体公営住宅って何だろうというのが、どうなっていくんだろうというのが二枚目の資料でございまして、これは鹿児島市の市営住宅募集案内書でございます。
 国交省のこの通達、事務連絡のとおり、入居の際に退去費を具体的に知らせて合意をもらいなさいとなっているので、もう正直にそのまま案内書に書いたんですね。退去時の修繕、清掃費用の負担について、事故、故意等による消耗のほか、通常使用による損耗、これは普通は民法では請求しないんですけどね、に関する修繕費用や清掃費用についても退去時に負担していただきますと。これまでの修繕、清掃費用の目安は三DKタイプで三十万円から四十万円、間取りや状況によっては異なりますとなっており、入居時に納める敷金を充当しても大半の方におきましては不足が発生していますという、正直なあれですね、案内書ですね。
 これを見た方が、これだけだと不安なので聞いてみたそうですね、どれぐらい掛かるかと。そしたら、不足分、更に幾ら掛かるかと聞いたら、大体五十万円から七十万円掛かる場合もありますよと言われたそうですね。大体、この市営住宅に入りたい人は、所得が低くて生活が苦しくて、困って入りたいと思うわけで、そんな人に入るときに、出るとき数十万円掛かりますよと言われたら入れないですよね、入れないですよね。これは何かもうおかしくなっていると思うんですよね、この公営住宅の在り方としてですね。
 これは大臣に伺いたいんですけど、この公営住宅ってこういうものなのかと、ちょっと原点に戻らないとおかしなことになっているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(中野洋昌君) 委員の方から様々な事例のお話をいただきました。
 ちょっと個々具体の事例につきましては、ちょっと中身はこちらの方では事実関係も含めてしっかり確認はさせていただきたいというふうに思っております。そういう意味では、その個別の事案がこうだということを今確定的に申し上げるというのはちょっと難しいんですけれども、いずれにしても、我々、平成、済みません、紹介いただいた平成三十一年事務連絡というのも出させていただきました。原状回復費用の取扱いについては、入居予定者にあらかじめ説明をし、十分に御理解をいただく、適切に対応していただくということは非常に重要であるというふうに考えております。
 原状回復費用の具体的な範囲をどうするかというのは、地方公共団体において、それはかなり個々の事情等がありますので、それぞれの自治体で御判断いただくところもあろうかと思いますけれども、この事務連絡の趣旨等しっかりと地方公共団体に周知、丁寧に説明していくとともに、御指摘の事例に関しては、事実関係ちょっとしっかり確認させていただきたいというふうに思っております。

○委員長(小西洋之君) 楠田局長、よろしいですか。

○政府参考人(楠田幹人君) 申し訳ございません。
 先ほど、事務連絡の年のことを、平成三十一年を平成十三年と言い間違えました。大変失礼いたしました。修正させていただきます。

○大門実紀史君 私、この事務連絡はいい事務連絡と思っているんですよね。積極的に取りなさいと言っているわけでもないし、ちょっと慎重にという意図も分かりますしね。ちゃんと御本人の了解が必要だということも書かれているので、まずこれを徹底していただくということと、今入居されている方にも出るときに問題にならないように徹底していただくということと、そもそも、やっぱり退去費用の在り方ですね。やっぱり民間は大体敷金の範囲ですよ。それ以上取るというのは、よほどの自己責任の場合ですよね。
 ですから、そういう退去費用と敷金の在り方も含めて、これはやっぱり国交省が考えないと、自治体はもう正直に、ちょっとお金取りたいからこういうふうに出しちゃうわけですよね。そうなると公営住宅法そのものの趣旨と随分変わってくるんじゃないかと思いますので、そういう面も含めてこれからよく研究、検討してほしいということを申し上げて、質問を終わります。

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